インバウンド消費で「旅行収支」黒字(日本)【キーワード】
2015年2月20日
<今日のキーワード>
「旅行収支」は外国人旅行者が日本で使った金額と、日本人旅行者が海外で使った金額の差額です。国際収支統計におけるサービス収支の一項目に分類されます。財務省が毎月発表する国際収支状況によって把握することができます。また、インバウンド消費は、外国人旅行者による日本での消費のことで、最近の「旅行収支」の黒字化をけん引しています。
【ポイント1】12月の「旅行収支」は、3カ月連続の黒字
昨年4月に約44年ぶりの黒字に、外国人旅行者の増加が背景
■円安などを背景に外国人旅行者が増え、日本での消費額も伸びています。「旅行収支」は、2014年4月に約44年ぶりに月間での黒字となり、それ以降12月までの9カ月で赤字になったのは3カ月だけでした。10月以降は黒字が続いています。
■外国人旅行者の増加傾向は今後も続くと見られ、「インバウンド消費」の増加で2015年の「旅行収支」は年間でも黒字化が見込まれます。
【ポイント2】外国人旅行者数は約30%増のペース
百貨店の「インバウンド」売上は2.5倍
■2014年の外国人旅行者数は、前年比+29%の1,341万人となりました。1月も前年同月比+29%と昨年の増加ペースを維持しています。円安に加え、ビザの発給要件緩和や免税品目の拡大、海外での訪日キャンペーンなどの政府の誘致施策も後押ししています。
■その恩恵を最も受けている業態のひとつがデパートです。日本百貨店協会が19日に発表した外国人旅行者への一般物品売上高(昨年10月に新たに免税品となった消耗品を除く)は前年同月比2.5倍の約110億円となりました。ブランド品や婦人服が好調でした。

【今後の展開】2020年に外国人旅行者を2,000万人に、地方経済への波及にも期待
■生産や雇用の拡大も
政府は、東京オリンピックが開催される2020年に外国人旅行者数を2013年比倍増の2,000万人に増やす目標を掲げています。外国人旅行者が増加することで、消費だけではなく、生産や雇用へ波及し、経済の底上げにもつながります。また新たなビジネスが生まれることも期待されます。
■地方の観光地でも波及効果に期待
2014年の「旅行収支」の受取額は、国内の消費全体の約0.7%にとどまります。ただし、地方の観光地などにとっては、外国人旅行者による消費の寄与は比較的大きく、地方経済のけん引役としての期待も高まっています。「旅行収支」の黒字傾向が定着するか今後も注目されます。