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「日銀審議委員」の改選と金融緩和 (日本)【キーワード】

2015年2月12日

<今日のキーワード>
「日銀審議委員」は、日本銀行(日銀)の金融政策決定会合に出席し、総裁、2人の副総裁とともに、金融政策決定会合で金融政策の方針を決定します。審議員6名と総裁、副総裁2名の計9名による多数決での議決が行われます。審議委員の任期は5年で、その任命には国会の同意が必要です。

【ポイント1】リフレ派の原田氏の起用を提示

宮尾氏の後任として、金融緩和に積極派から登用
■昨年10月の市場の意表をついた量的金融緩和は、5対4の薄氷の採決でした。この会合で総裁と副総裁以外で賛成票を投じたうちの一人である宮尾委員の任期が今年の3月25日に満了となることから、後任の人事が注目されていました。

■政府は宮尾委員の後任として、原田早稲田大学教授を起用する案を国会に示しました。原田氏は、リフレ派という経済学派に位置づけられ、量的金融緩和に積極的とされます。リフレとは、リフレーションの略で、デフレとインフレの中間に位置する緩やかな物価上昇を指します。リフレ派の主張は、緩やかな物価上昇の持続で経済成長を図ることが出来るとする考え方です。2年で2%の物価上昇率を実現し、デフレを脱却することを掲げる異次元金融緩和とは、考え方に共通する点が多いとされます。

【ポイント2】消極派は大胆な量的金融緩和のコストや副作用を懸念

大胆な量的金融緩和の評価は現状では困難
■大胆な量的金融緩和に消極的な審議委員の指摘を集約すると、緩和のコストや副作用への懸念が挙げられます。量的金融緩和によって非効率な企業などが温存されると、成長につながらず構造改革が進まないことや、過度な円安の弊害が懸念されています。ただし、量的金融緩和政策はその歴史が浅く、現状では、その評価は難しいとされています。

【今後の展開】審議委員に金融緩和積極派の登用で、追加金融緩和に布石へ

■金融緩和に積極的な人材登用へ
宮尾委員以外の5人の審議委員は、今年6月を皮切りに、来年に2名、2017年7月に2名の任期が満了になります。連立与党が過半数を制する国会の同意が必要な審議委員の人事では、量的金融緩和に積極的な人材が登用されるとの見方が広がっています。

■高まる追加金融緩和期待
足元では、原油安から、物価が上昇しにくい環境となっています。2%の物価目標の達成を期限を切って公約した日銀にとって、追加金融緩和は、残しておきたい伝家の宝刀と見られ、いつ抜くのかに投資家の注目は集まっています。

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