先行きの改善を示した「街角景気」(日本)【キーワード】
2015年2月10日
<今日のキーワード>
「景気ウォッチャー調査」は内閣府が毎月実施する景況感に関する調査で「街角景気」調査とも呼ばれます。タクシー運転手やコンビニエンスストアの店長、レストラン経営者など、景気に敏感な約2,000人が調査対象(ウォッチャー)です。3カ月前と比べたその時点の景気と、2~3カ月先の景気予測を調査します。算出された指数から好不況を判断する際の中立水準は、50ポイントです。
【ポイント1】現状判断DIは2カ月連続で上昇
雇用関連が3カ月ぶりに中立の50ポイントを上回る
■1月の「景気ウォッチャー調査」(調査期間1月25日~31日)は、「現状判断DI」が前月比+0.4ポイントの45.6ポイントと2カ月連続で上昇となりました。飲食関連の低下で家計動向関連は低下しましたが、雇用関連が同+5.8ポイントの54.8ポイントと3カ月ぶりに中立の50ポイントを上回ったことが寄与しました。企業動向関連は小幅に上昇しました。
■街角の声には、「新規求人は、前月足踏み状態だったが再び増加している。特に、正社員求人数が増加してきている(南関東の職業安定所)」といった声が聞かれました。
【ポイント2】先行き判断DIは5カ月ぶりに50ポイントに達する
雇用関連、企業動向関連がいち早く回復
■2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断DI」は前月比+3.3ポイントの50.0ポイントと5カ月ぶりに中立の50ポイントに達しました。家計動向関連は50ポイントに達しませんでしたが、雇用関連は2カ月連続で、企業動向関連は5カ月ぶりに50ポイントを上回りました。
■街角の声には「円安の影響で生産の国内回帰が拡大し、設備投資まで発展する可能性がある(九州の金属製品製造業)」と円安効果が現れてきたなどの声が聞かれました。また、「消費税増税が延期され、昨年に続いて賃金のベースアップも広範に実施されそうである(近畿のスーパー)」といった先行きの消費に期待する声も聞かれました。

【今後の展開】企業業績の拡大や賃上げ機運の高まりにより景況感は改善へ
■企業業績拡大により景況感はさらに改善へ
6日までに約7割の企業(今年3月に決算期を迎える上場企業、金融、電力などを除く)の第3四半期決算が発表され、好決算となった企業が多く見られました。2014年度は円安や世界景気の回復による輸出の増加などを背景にリーマン・ショック前の2007年度を上回り最高益の更新が見込まれ、景況感のさらなる改善が期待されます。
■実質賃金の増加による個人消費の回復に期待
2014年12月の実質賃金指数は前年同月比▲1.4%となったものの、消費税増税直後の5月(同▲3.8%)からマイナス幅は大きく縮小しました。4月以降は消費税増税の影響が一巡することや、企業業績の拡大を背景に大手企業を中心に賃上げ機運が高まっていることなどから、実質賃金の増加による個人消費の回復が期待されます。