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改善が足踏みする「日銀短観」(日本)【キーワード】

2014年12月16日

<今日のキーワード>
「日銀短観」は日銀が金融政策運営の参考にするため、3カ月ごとに約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。市場では大企業・製造業の現状の景況感(業況判断DI)と3カ月先の景況感(先行きDI)が注目されています。また景況感のほか、企業の売上、収益、設備投資計画や雇用などの状況判断が公表されます。今回の調査期間は11月12日~12月12日でした。

【ポイント1】大企業・製造業の景況感は小幅悪化

建設や不動産など一部業種では改善傾向
■15日に発表された12月調査分の「日銀短観」では、大企業・製造業の「業況判断DI」(最近)が+12(前期比▲1ポイント)と小幅に悪化しました。円安などを背景に造船・重機等や生産用機械など一部の業種で改善は見られたものの、石油価格の下落で石油・石炭製品が大幅に悪化し、自動車も国内販売不振の影響などで悪化しました。一方、大企業・非製造業の「業況判断DI」(最近)は+16(同+3ポイント)と改善しました。住宅着工に持ち直しの兆しが出てきたことなどから建設や不動産が改善し、宿泊・飲食サービスも改善しました。しかし個人消費の回復が鈍く小売は悪化しました。「先行きDI」(先行き)は大企業・全産業で小幅に悪化しており、大企業の景況感の改善にやや足踏みが見られます。

【ポイント2】今年度の経常利益計画は上方修正

設備投資額も増額
■今年度の経常利益計画は、大企業、中堅企業、中小企業ともに前回調査から上方修正されました。円安などによる収益の改善やコスト削減などが寄与する見込みです。事業計画の前提となっている今年度下期の米ドル円レートは104.04円と、現在の118円前後から大きくかい離していることから、今年度の経常利益計画はさらに上振れが期待されます。

■今年度の全規模・全産業のソフトウェアを含む設備投資額(除く土地投資額)も前回調査から小幅に上方修正されました。企業の景況感に足踏みがみられるものの、利益や設備投資は着実に上向き傾向となっています。

【今後の展開】底堅い雇用、企業業績を背景に景気回復へ

■雇用の不足感は続く
全規模・全産業の最近の雇用DI(過剰-不足)は▲15と前期比▲1ポイントとなり人手不足感が強まっています。労働需給の引き締まりが、今後の賃金上昇につながることが期待されます。

■景気は緩やかに回復へ
7-9月期のGDP成長率が2四半期連続のマイナス成長になるなど、足元では景気減速懸念が強まっています。しかし企業収益や雇用に改善が見られることなどから、景気は緩やかに回復傾向にあると見られます。

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