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円安の影響を懸念する「街角景気」(日本)【キーワード】

2014年12月9日

<今日のキーワード>
「景気ウォッチャー調査」は内閣府が毎月実施する景況感に関する調査で「街角景気」調査とも呼ばれます。タクシー運転手やコンビニエンスストアの店長、レストラン経営者など、景気に敏感な約2,000人が調査対象(ウォッチャー)です。3カ月前と比べたその時点の景気と、2~3カ月先の景気予測を調査します。算出された指数から好不況を判断する際の中立水準は、50ポイントです。

【ポイント1】円安などの影響を受け現状判断DIが低下

家計動向、企業動向、雇用ともに低下
■11月の「景気ウォッチャー調査」(調査期間11月25日~30日)は、「現状判断DI」が前月比▲2.5ポイントの41.5ポイントと、4カ月連続で中立の50ポイントを下回りました。小売関連の不振から家計動向が同▲2.8ポイントと大きく低下し、企業動向(同▲1.6ポイント)と雇用(同▲2.4ポイント)も低下しました。

■街角の声には、「海外旅行の予約受付が非常に悪い。円安による割高感が強まっているようである(近畿の旅行代理店)」など、円安の影響を訴える声が聞かれました。

【ポイント2】先行き判断DIは3カ月連続で中立以下

円安を懸念、増税延期には期待の声も
■2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断DI」は前月比▲2.6ポイントの44.0ポイントと6カ月連続で低下し、3カ月連続で中立の50ポイントを下回りました。家計動向、企業動向、雇用ともに低下しました。

■街角の声には、「円安、ドル高による物価の値上がりなどで、人々の財布のひもはまだ固く、必要なもの以外の購入は控える傾向にある(北陸の商店街)」、「円安の影響による原材料費の高騰に耐えられない(東北の食料品製造業)」と円安を懸念する声が聞かれる一方、「消費税の再増税が見送られ、客が少し落ち着いて、年末に買物することを期待している(九州の商店街)」など増税延期に期待する声も聞かれました。

【今後の展開】円安の悪影響は、増税延期や、企業業績拡大による賃金増加で緩和へ

■増税延期などによる消費マインド好転に期待
日銀の予想外の量的・質的金融緩和策の拡充、安倍首相の消費税増税延期の表明などにより、円安・株高が進みました。街角の声にもあるように、円安のマイナス面への懸念が強まっている一方、増税延期や株高により消費マインドの好転が期待され、円安によるマイナスを和らげることが期待されます。

■円安は企業業績の上振れ要因
円安は、輸出企業の業績改善などにより、全体としてはプラスと見られます。企業が想定する今年度下期の米ドル円レートは105円程度と見られ、現在の水準が続けば円安による企業業績の上振れ要因となります。企業業績の拡大などにより賃金が増加し、円安の悪影響への懸念が和らぎ、消費回復につながることが期待されます。

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