好調さを示す「法人企業統計」(日本)【キーワード】
2014年12月2日
<今日のキーワード>
「法人企業統計」は、国内企業約2万3,000社(うち金融・保険業以外は約2万社)の財務諸表を集計した統計です。四半期毎に実施される「季報調査」と、年に一度実施される「年報調査」があり、財務省が発表しています。この統計により、国内企業の売上高や利益の増減、バランスシート(貸借対照表)の現状、設備投資額などを把握することが出来ます。
【ポイント1】設備投資は6四半期連続の増加
企業業績の拡大が背景
■1日、財務省は「2014年7-9月期の法人企業統計」を発表しました。全産業(金融・保険業除く)の設備投資は、前年同期比+5.5%と6四半期連続で増加し、伸び率は4-6月期の同+3.0%を上回りました。製造業が同2桁の伸びを示したことが全体の加速に貢献しました。非製造業は引き続き堅調な動きでした。また企業規模別では、中小企業の伸びが大きく、設備投資は裾野が広がりつつあります。
■全産業(金融・保険業除く)の売上高は、同+2.9%と5四半期連続の増加、経常利益は同+7.6%と11四半期連続の増加となり、いずれも伸び率は4-6月期を上回りました。製造業の経常利益は、消費税増税などの影響で落ち込んだ前期から大きく持ち直しました。円安の影響が懸念された非製造業は、底堅さが持続し、経常利益は6四半期連続の増加です。
【ポイント2】7-9月期GDP成長率は上方修正へ
在庫減少の影響は残りマイナス幅縮小にとどまる
■今回の「法人企業統計」では、同じ7-9月期の実質GDP成長率の1次速報値が在庫減少の影響でマイナス成長となるなか、企業の設備投資と収益が堅調に推移していることが示されました。
■7-9月期GDP1次速報値の民間企業の設備投資は、前期比▲0.2%でした。「法人企業統計」の内容などを受け改定される2次速報値では、設備投資が前期比プラスに上方修正される見込みです。ただし、GDP全体としては、在庫減少の影響などが残るため、マイナス幅の縮小にとどまる見込みです。
【今後の展開】企業業績の拡大による賃金上昇、消費拡大への好循環に期待
■企業業績拡大による賃金上昇に期待
円安の進展は、国内企業の利益にとってコスト増などによりマイナスの面もあります。ただし、輸出企業の業績改善などにより、全体としてはプラスとみられます。企業業績拡大により来年の賃上げへの期待が高まります。
■賃上げ、消費拡大へと波及しデフレ脱却へ
来年の消費税増税は1年半の延期が決まりました。消費マインドにはプラスに働くことが期待されます。マインド好転を機に、賃上げ、消費拡大、さらにデフレ脱却への好循環を確かなものとするためにも、企業による賃上げの確実な実行が期待されます。