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進む「円安」、その効果(日本)【キーワード】

2014年9月25日

<今日のキーワード>
「円安」とは、外国通貨に対し円の価値が低下することです。例えば、1米ドル=100円から120円になった場合は、1米ドルを得るために20円多く支払うこととなります。米ドルに対する円の価値が相対的に低下したことを意味し、これを「円安」と言います。為替レートは日本経済や諸外国の様々な要因が複雑に影響しますが、「円安」になることで、私たちの日常生活にも様々な影響があります。

【ポイント1】私たちの日常生活に関わる「円安」とは?

輸入品の価格上昇、旅行代金の上昇などに注意
■「円安」になると、私たちの日常生活にはどのような影響があるのでしょうか?まず、輸入品の価格上昇が懸念されます。例えば、原油は国内ではほとんど採れないため輸入に頼っており、「円安」になるとガソリンなどの国内価格が上昇します。また、海外旅行では現地での支払いなどで両替のレートが不利になり、円での支払いがより増えます。逆に、海外からの旅行者にとっては、同じ外貨の支出でも円貨額が増えることとなり、日本国内での消費が増加することが期待されます。

【ポイント2】企業にとっての「円安」とは?

輸出企業の業績改善の一方、原材料高の側面も
■「円安」は、企業にとってはどのような影響があるのでしょうか?日本企業の多くは、原材料を海外から輸入し、国内で加工して輸出をしています。このため、これまで同様の海外での売り上げでも、円換算すると円での受け取りが増えることとなります。一方で、円換算後の原材料価格も増加するため、売り上げが国内に集中する企業ではコスト増のマイナスの影響が大きくなります。

■輸出企業の多い日本では、全体的にはメリットが大きいと思われます。近年は、歴史的な「円高」や、成長する新興国での原材料調達・生産・販売の一貫化、人件費の安さなどから企業拠点の海外移転が進み、輸出での「円安」効果は薄まっているとの指摘もあります。しかし、海外拠点の収益を国内に連結した際の円ベースで見た日本企業の業績は「円安」により改善すると考えられます。

【今後の展開】「円安」効果で企業収益が改善し、賃金増加、物価上昇、「デフレ脱却」へ

■今後も続くと見込まれる「円安」圧力
米ドル円レートは19日に1米ドル=109円台半ばと、2008年9月のリーマンショック前の水準まで「円安」が進みました。この背景には、米国の景気拡大や貿易収支の改善(いずれも米ドル高要因)などがあります。また、米国では利上げ、日本では追加金融緩和の期待(金利高は通貨高要因)もあり、今後も「円安」圧力が残りそうです。

■企業収益の改善から、賃金、物価の上昇へ
「円安」により、輸出企業の多い日本経済では、全体として企業収益の改善が見込まれます。企業収益の改善から賃金の上昇が期待され、消費の活性化や物価の上昇へ繋がることも想定されます。こうした経済の好循環により、ひいては中長期的な「デフレ脱却」へと繋がることが「円安」の効果として期待されます。

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