野菜価格の高騰 (日本)【キーワード】
2014年9月22日
<今日のキーワード>
日々の生活に密着する食料品価格は、スーパーなどの小売店の店頭でその価格の変化を感じ取ることが出来ます。食料品価格の変動は、その時の天候や収穫状況などと深く関わっています。その動向は消費者物価指数(全国)の細目で把握することができ、食料品は全体の25.25%、生鮮野菜は同1.75%を占めています。また、農林水産省が市場での卸売価格動向などを発表しています。
【ポイント1】天候不順の影響を受け、野菜価格が高騰
レタスや白菜など葉物野菜が特に高い!
■農林水産省が発表している「青果物卸売市場調査(9月上旬)」によると、野菜価格(全体)は前年の同時期と比べて15%上昇しています。中でもレタスは同+152%と2.5倍以上となっています。また、じゃがいも(同▲14%)、ねぎ(同▲10%)、にんじん(同▲9%)など一部を除き、はくさいは同+55%、カリフラワーは+81%となるなど、野菜全体で価格が上昇しています。8月は2つの台風が接近・上陸し、西日本を中心に大雨となるなど、天候不順が続いたことが大きな要因です。
【ポイント2】野菜価格を取り巻く天候以外の要因は?
原油価格や円相場などに注意
■最近の野菜などは、より安定した生産のため、ビニールハウス栽培などが多く活用されています。これによると、気温の変化などを受けにくい分、温度を一定にするため、エネルギー価格などがコストとしてかかってきます。原油価格は、新興国景気の減速や地政学リスクの後退などから足元は下落していますが、今後上昇する際には、野菜価格上昇の要因となります。
■野菜は国内生産だけでなく、海外からの輸入も多くあります。円相場は、7月末までしばらく横ばいで推移していましたが、先週19日には1米ドル=109円を突破するなど、円安が輸入野菜価格の上昇に影響することも考えられます。

【今後の展開】野菜価格は引き続き上昇?食生活の中にも映る身近な経済とは?
■天候不順の影響が長引き野菜は一段と高騰?
農林水産省は月に1回、野菜価格の見通しを発表していますが、足元の価格高騰を受けて、9月は異例の2回目の発表を行いました。これによると、9月に入ってからも日照不足や低気温が続いていることから、キャベツ、レタス、キュウリ、なすは生育が遅れており、9月後半の価格上昇が見込まれています。また、8月の天候不順が影響し、さといもなども今後価格が上昇すると見られています。
■食欲の秋に食生活を通じて感じる身近な経済
食事など日々の生活は、経済と密接に関わっています。9月に入り暦の上では秋となり、食欲の秋を迎えました。また今年はやや気温の低下が早く鍋料理の恋しい季節も間もなくです。鍋料理は、1つのお鍋の中に沢山の食材が入ります。何気ないお鍋をつつく時間にも、エネルギー価格や円相場などにも思いを巡らせ、身近な経済を感じてみてはいかがでしょうか?