ホームマーケット日々のマーケットレポート日本株投資部門別売買状況(日本)【キーワード】/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

日本株投資部門別売買状況(日本)【キーワード】

2014年9月8日

<今日のキーワード>
東京証券取引所(以下、東証)は「投資部門別売買状況」を発表しています。これは、東証が証券業者(資本金30億円以上)から、あらかじめ定められた投資部門別に、東証と名古屋証券取引所(名証)の1部、2部に上場されている株式の売りと買いの株数と代金の報告を受け集計したものです。通常は毎週木曜日に前週の売買が発表されます。

【ポイント1】信託銀行が4カ月連続の買い越し

「GPIF期待」が続き、年金資金の流入が続く
■9月4日に東証が発表した8月分の「投資部門別売買状況」によると、信託銀行が1,900億円の買い越しとなり、5月以来4カ月連続の買い越しとなりました。信託銀行の売買は、銀行本体の売買は少なく、公的年金や企業年金による売買が中心です。国民年金などを運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に関する法改正の動きを受け、株式市場の活性化を期待したその他の年金資金が日本株投資を増やしていることが買い越しが続いている背景と見られます。

【ポイント2】外国人は売り越し傾向、自社株買いは昨年度並み

「相場のけん引役」不在が高値もみ合いの一因
■一方、外国人投資家は、8月は3,925億円の売り越しでした。1-8月の累計では9,525億円の売り越しと、年間で15兆円超と過去最大の買い越しを記録した2013年から様変わりです。アベノミクスの方向性や、消費税増税後の日本の景気が不透明なことから様子見姿勢になっていると見られます。

■事業法人は、ROE(株主資本収益率)向上の手段として自社株買いが注目されています。1-8月の累計は6,606億円の買い越しと、前年同期の5,936億円の買い越しに比べると大きな変化は見られません。2014年は「相場のけん引役」不在が、株価が高値でもみ合う一因になっていると見られます。

【今後の展開】株価の動因としての外国人に注目、国内勢は底堅さを演出か

■円安傾向が再び強まっていることはプラス
このところ、米国景気の好調さが目立っているほか、ユーロ圏で更なる利下げと資産購入といった追加金融緩和が実施されました。為替市場では、これを受けてドル高の気運が高まりました。ドル・円相場は5日、年初につけた安倍政権成立後の最安値である1ドル=105.44円(1月2日)を突破し、一時105.71円までドルが買い進まれました。円安傾向が再び強まってくれば業績向上への期待にもつながり、株価にはプラスです。

■外国人の買い越し基調への転換を期待
投資家では、引き続き外国人投資家の動向に注目です。売買の60%程度を占め、相場の動因にもなりやすい存在です。外国人が買い越し基調を強めれば株価上昇が加速する契機になることが期待されます。一方、年金や事業法人、個人投資家との関係が深い投資信託などの国内勢は、株価の底堅さを演出する存在として期待されます。両者の動きがうまく噛み合った場合、株価は着実に水準を切り上げていく方向をたどると思われます。

関連マーケットレポート