株主資本利益率(ROE)(日本)【キーワード】
2014年8月6日
<今日のキーワード>
ROE(Return on Equity)は株主資本(自己資本)に対して、企業がどれだけ利益を上げるかを示す指標です。ROEが高い企業ほど、同じ株主資本に対して多くの利益を獲得していると言え、企業の収益性を測る指標のひとつです。また、企業経営者にとっては、株主資本を効率的に使用しているかを見る尺度としても有用です。
【ポイント1】アベノミクスも注目するROE
公的年金は株式投資の成果の尺度のひとつとして採用
■アベノミクスの日本再興戦略でもROEに注目しています。日本企業は欧米企業と比較してROEなどで測った収益性が低いことが指摘されており、アベノミクスでは企業の「稼ぐ力」を取り戻すために、ITの強化や規制緩和など様々な施策を行う予定です。また、公的年金運用においても、主に高ROE企業で構成される「JPX日経インデックス400」を運用成果の目標指数のひとつとして取り入れました。
【ポイント2】ROEを高めることにより経営効率化
過少資本企業には注意が必要
■ROEは、売上高を増やすこと、コストカットなどで利益率を上げることなどにより上昇させることができます。低コストで高採算製品を多く販売する企業などのROEは比較的高い傾向があります。
■ただし、ROEだけで企業を評価することには注意が必要です。借入金を増やしてもROEが上昇する場合もあるため、自己資本が少ないなど財務体質の弱い企業もROEが高くなるケースがあります。総資産利益率(ROA)など他の指標も合わせて見る必要があると思われます。

【今後の展開】株式投資においても重要度が増す可能性も
■JPX日経400インデックスが誕生
日本証券取引所グループは2014年1月から、財務体質や経営の評価が高い企業400社を基にした新しい株価指数「JPX日経インデックス400」(JPX400)を公表しています。主にROE、営業利益、時価総額を構成銘柄の選定基準とし、毎年8月最終営業日に銘柄の定期入れ替えを行います。
■今年4月以降、JPX400はTOPIXを上回る
今年4月初めから8月5日まで東証株価指数(TOPIX)は+4.9%上昇したのに対し、JPX日経インデックス400は+5.5%とTOPIXを上回る上昇となりました。株価は様々な要因で変化しますが、ROEで測った財務や経営が優れた企業が評価される傾向が強まることも想定されます。