【キーワード No.1,377】一段と対策が求められる「少子化」と「高齢化」 (日本)
2014年7月24日
1.「少子化」と「高齢化」の実態を知るには?
厚生労働省が発表する「国民生活基礎調査」で把握することが出来ます。1986年に開始されたこの調査は3年毎に大規模調査が、中間の各年には簡易な調査が実施されています。調査内容には、世帯数と世帯人員数(年齢層別世帯構成など)、各種世帯の所得状況(所得や貯蓄の状況など)、世帯員の健康状況、介護の状況などがあります。2013年は第10回目の大規模調査が実施されました。
2.最近の動向
7月15日、2013年の「国民生活基礎調査」の結果が公表されました。これによると単独世帯(全世帯の26.5%)の増加に伴い、平均世帯人員は2.51人と減少の一途にあり、1950年代前半の5人程度から半減しています。また単独世帯のほか、高齢者世帯(65歳以上の者のみかこれに児童(18歳未満の未婚者)が加わった世帯、同23.2%)が急増しています。「高齢化」が進む中、介護者も高齢者となる、いわゆる「老々介護」が要介護者のいる世帯の51.2%を占め、調査開始以来初めて50%を超えました。
一方、児童のいる世帯の割合は全体の24.1%と、調査開始以来約半分に低下しました。このうち、生活意識として「苦しい」と答えた割合は65.9%に上り、上昇傾向にあります。母子世帯に限ると、この割合は84.8%まで増加します。「少子化」が進む中、こどもの生活環境は厳しさを増していると思われます。

3.今後の展開
同調査結果が公表された同日、全国知事会が開かれ、「少子化非常事態宣言」が取りまとめられました。この中では、人口減少による国力低下への懸念が示され、「少子化対策を国家的課題と位置付け、国と地方が総力を挙げて少子化対策の抜本強化に取り組み、我が国の未来の姿を変えていく」と宣言されています。国の取り組みとしては、社会保障と税の一体改革が進められ、次世代育成支援対策の推進・強化や、ひとり親家庭に対する支援施策の充実などの法案が、今春の国会で成立しました。また来年10%となる可能性がある消費税増税は、社会保障の充実・安定化も目的とされています。持続的な経済成長を支えるため、アベノミクスが進める女性の更なる活躍促進とともに、「少子化」と「高齢化」への一層の対策が期待されます。