ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,365】民間の「物価見通し」は増税後も冷静(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,365】民間の「物価見通し」は増税後も冷静(日本)

2014年7月7日

1.民間の物価見通しを知るには?

 企業の物価見通しは日銀短観に付随する調査「企業の物価見通し」、個人の物価見通しは日銀が3カ月に1度行う「生活意識に関するアンケート調査」で把握することができます。後者は1993年から実施されており、全国の満20歳以上の個人4,000人を対象に、暮らし向きや景況感など29項目の質問で構成されています。日銀はこの調査を生活者の意識や行動を大まかに聴取する一種の世論調査としています。

2.最近の動向

 3日に発表された6月調査分の「生活意識に関するアンケート調査」では、個人の1年後の物価見通しは+4.2%(消費税増税を除く平均値、以下同様)と、前回の3月調査値(+5.0%)から低下し、1年前と比べた現在の物価への実感(+4.1%)とほぼ変わらない結果となりました。個人は増税後の現状が今後も続くと見ているようです。また、2日に公表された「企業の物価見通し」では、1年後の平均が+1.5%と3月調査値と変わらない結果となりました。
 日本商工会議所が2日に発表した「中小企業における消費税の価格転嫁に係る実態調査」では、消費税増税分が全く転嫁できなかったと回答した事業者は約1割となり、前回増税時(1997年)の約4割と比べ大きく低下しました。今回の増税が比較的スムーズに転嫁されたことが、生活者の実感としての物価見通しの高さに影響している可能性もあります。

3.今後の展開

 一方、日銀は、「暫くの間、1%台前半で推移し、2014年度後半から上昇が加速し、2015年度中に2%に達する」という見方を維持しています。物価見通しに関する調査結果では、今後物価上昇率がさほど変わらないことを示唆しているのに対し、日銀の見通しは強気に見えます。
 これまで日銀の異次元緩和などもあり、景気と物価が順調に回復してきました。さらに、今春以降の賃金上昇が消費需要を上向かせ、それが物価や企業業績へと波及する好循環が本格化するか、世の中の「物価見通し」の変化に今後も注目が集まります。

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