【キーワード No.1,363】8都府県で「路線価」上昇 、全国の下落幅も縮小(日本)
2014年7月3日
1.「路線価」とは?
主な道路に面した標準的な宅地(住宅地、商業地、工業地等)の1平方メートル当たりの価格です。「路線価」を基に、相続税や贈与税が算出されます。毎年1月1日時点で評価され、国税庁が発表します。
公の機関が公表する土地の価格として「路線価」のほか、公共事業用地の取得価格の算定基準などに利用される「公示地価」・「基準地価」や、「地価Lookレポート」などがあります。
2.最近の動向
1日、国税庁は今年1月1日時点の「路線価」を公表しました。全国約34万地点の「路線価」は、前年比の平均で▲0.7%と、6年連続で下落しました。ただし、下落幅は昨年の同▲1.8%から縮小し、下げ止まりの兆しが見られます。また下落した道府県全てにおいて下落幅が縮小しました。
上昇したのは8都府県で、愛知県と宮城県が2年連続の上昇となったほか、東京都、大阪府、神奈川県、千葉県、埼玉県が、2008年以来6年振りに上昇しました。このほか、福島県でも上昇しました。
全国で最も高い「路線価」となったのは、東京都中央区銀座五丁目の文具店「鳩居堂」前で、1平方メートル当たり2,360万円(+9.7%)でした。

3.今後の展開
2014年の「路線価」は、都道府県別では下落した割合が多い一方、三大都市圏を中心に上昇してきています。また「路線価」のほか、「公示地価」(2014年1月1日時点)や「地価Lookレポート」(2014年1月1日~4月1日)などでも地価の上昇傾向が見られています。昨年、2020年の東京五輪招致が決定し、東京の湾岸地区ではマンションの需要が高まっているほか、東京や大阪などで新たな商業施設が開設するなど再開発が進んでいるケースもあり、景況感の改善とともに地価の上昇要因となっています。
1日に発表された5月の「毎月勤労統計」では所定内給与が2年2カ月振りに上昇に転じました。こうした賞与・一時金にとどまらない賃金の上昇が景気回復を後押しし、先行きへの信頼の回復が住宅需要を押し上げるなど、地価上昇が全国的に広がることが期待されます。