ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,360】「企業向けサービス価格」は21年振りの上昇率(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,360】「企業向けサービス価格」は21年振りの上昇率(日本)

2014年6月30日

1.「企業向けサービス価格」とは?

 物価動向を示す指標には、家計に係る物価や企業に係る物価など様々な指標があります。なかでも、企業に係る物価動向は財(モノ)とサービスに分けて日銀が発表しています。企業間で取引されるモノの価格動向を示すのが「企業物価指数」、企業間で取引されるサービスの価格動向を示すのが「企業向けサービス価格指数」で、後者の方が企業に係る物価動向において大きな比重を占めます。

2.最近の動向

 25日、日銀が発表した5月の「企業向けサービス価格指数」は、前年同月比+3.6%となりました。これは1991年以来、約23年振りの上昇率です。また、消費税増税の影響を除くベースでみても同+0.9%と、こちらも1993年以来、約21年振りの上昇率です。同指数は、2013年8月以降前年同月比でプラスで推移してきましたが、足元で上昇が加速しています。
 5月は、企業業績の改善からテレビや新聞の広告が上昇し、全体への寄与度が高くなりました。このほか、復興関連事業が旺盛なことから土木建築サービスや、燃料価格の上昇や外国人観光客の増加などから宿泊サービスが上昇しました。また、賃金上昇など雇用環境の改善から職業紹介サービスや労働者派遣サービスも上昇しました。

3.今後の展開

 日本経済は2014年1-3月期のGDP成長率が前期比年率+6.7%と大幅に上昇し、6四半期連続のプラス成長を遂げています。27日に発表された5月の有効求人倍率は1.09倍と、1992年7月以来約22年振りの水準まで上昇し、雇用にはひっ迫感があります。また企業業績の好調さから、春の賃上げに続き夏のボーナスも高水準となっており、消費税増税後も内需は比較的堅調となっています。こうした内需の堅調さが、「企業向けサービス価格」を押し上げていると考えられます。今後は「企業向けサービス価格」の上昇が家計の物価動向に波及するかが注目されます。27日に発表された5月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比+3.4%と、4月の同+3.2%から上昇が加速しました。これは、5月から公共料金に消費税増税分が上乗せされたためですが、今後は「企業向けサービス価格」の上昇にみられるような内需の高まりによる物価上昇が見込まれます。こうした物価上昇が企業業績の向上につながり、さらなる賃上げなど、経済の好循環となることが期待されます。

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