【キーワード No.1,351】大きな柱が見えた今年の「成長戦略」(日本)
2014年6月17日
1.「成長戦略」とは?
安倍政権ではアベノミクスの第三の矢として「民間投資を喚起する成長戦略」を挙げています。昨年6月14日に発表された成長戦略は「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」と名付けられました。「日本再興戦略」では、成長実現に向けた具体的な取り組みとして、「日本産業再興プラン」、「戦略市場創造プラン」、「国際展開戦略」の3つのアクションプランが掲げられています。
2.最近の動向
10日、産業競争力会議は「日本再興戦略」の改定(骨子案)を公表しました。課題として残されていた①雇用・働き方の改革、②医療・介護分野、③農林産業分野への対応、が注目されており、目玉は労働時間規制の見直しと言われています。
また13日には、首相の諮問機関である経済再生諮問会議が「経済財政運営と改革の基本方針2014(仮称)」(骨太の方針)の素案をまとめました。この中には①増税に伴う駆け込み需要の反動減、②経済の好循環の拡大、③人口急減・超高齢化、④経済再生と両立する財政健全化、の4つの課題に対応することが盛り込まれています。
同じく13日には、日本経済の再生に資する各種規制の見直しを行うことを目的とした規制改革会議が「規制改革実施計画」を首相へ答申しました。この計画は、エネルギー、保育、創業など多岐にわたっていますが、特に医療、雇用など規制改革が難しいとされる「岩盤規制」への切り込みが期待されています。

3.今後の展開
立て続けに公表された「日本再興戦略」の骨子案、「骨太の方針」の素案、「規制改革実施計画」は今年の成長戦略の大枠の柱となり、今月中にもまとめられると思われます。また13日に安倍首相は、市場が注目していた法人実効税率を、2015年度から数年間で20%台に引き下げること等を明言し、これは「骨太の方針」の別紙にも掲載されました。このことを市場は好感し、同日の株式市場は大幅に上昇しました。
アベノミクスの第三の矢である「成長戦略」の概略が見えたことで、市場は概ね材料として織り込んだと思われます。法人税減税に対応する財源の確定が年末に持ち越されるだろうことは早くから伝わっており、これについては市場は冷静に受け止めたとみられます。今後は、減税の財源をどのように確保するかを見極めることが市場の材料の一つになりそうです。