ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,333】「大学生の就職率」上昇、企業は人材確保を活発化(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,333】「大学生の就職率」上昇、企業は人材確保を活発化(日本)

2014年5月22日

1.大学生の就職状況を知るには?

 厚生労働省と文部科学省が共同で調査する「大学生等卒業者の就職状況調査」によって知ることが出来ます。両省は、共同で大学などの卒業(予定)者の就職(内定)状況について年4回(10月、12月、2月、4月の各1日時点)の調査を行い、各翌月中頃に調査結果を発表しています。

2.最近の動向

 16日に発表された「平成25年度大学等卒業者の就職状況調査」によると、今春に卒業した大学生(就職希望者)の就職率は前年同期比+0.5ポイントの94.4%となりました。過去最低となった2011年3月卒(91.0%)から3年連続の上昇となりましたが、直近のピークである、リーマン・ショック前の2008年3月卒(96.9%)の水準には届きませんでした。男女別では、男子は93.8%、女子は95.2%と2年連続で女子が男子を上回りました。文理別では、文系は94.0%、理系は96.4%でした。また、地域別にみると中国・四国地区を除く全国5地区で就職率は上昇しました。

3.今後の展開

 毎年その年の新入社員のタイプを命名している日本生産性本部は、今年の新入社員を「自動ブレーキ型」と名付けました。敏感な情報収集能力と頭の回転の速さがスマートである一方、そこそこの内定を得ると壁にぶつかる前に活動を終了した、といったことなどがその理由です。また、日本生産性本部は毎年その年の新入社員に「春の意識調査」をしています。今年は「海外勤務のチャンスがあれば応じたい」が50.1%、「将来の自分のキャリアプランを考える上では社内で出世するより自分で起業して独立したい」が11.8%と、いずれも設問開始以来(2011年と2003年)、過去最低となりました。一方、「条件のいい会社であればさっさと移る方が得だ」とする回答は30.9%と10年ぶりに30%を超えました。
 学生の就職活動は厳しい環境が続いてきましたが、日本経済が2014年1-3月期まで6四半期連続のプラス成長を持続するなか、企業業績は徐々に回復し、新卒の採用数も増加しつつあります。また大学や政府の支援などもあり、学生も大手企業に限らず中堅・中小企業へも企業分析・就職活動を広げ、就職率が上昇してきています。そして、海外勤務や独立などへの姿勢は後退している一方、景況感の良さなど就職環境の好転から転職を柔軟に考えているようです。来春卒業予定の大学生の就職活動が本格化する現在、求人数は前年比で25%以上増加するとの民間調査もあります。今年は団塊の世代の退職のピークでもあり、好景気から雇用がひっ迫しつつあるなか、企業の人材確保への意欲はさらに高まりそうです。

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