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【キーワード No.1,332】「物価連動国債」、個人に解禁へ(日本)

2014年5月21日

1.「物価連動国債」とは?

 物価の動向に連動して元金額が増減する国債です。発行後に物価が上昇すれば、その上昇率に応じて元金額が増加します。表面利率は発行時に固定されるため、インフレ時の物価上昇により元金額が増加すれば利子の額も増加します。逆に、物価が下落するデフレ環境下では、元金額、利子ともに減少することになります。連動する物価指標は、全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)です。
 また、「物価連動国債」の市場価格には、将来的なインフレの状況が織り込まれると考えられるため、満期など同じ条件の普通国債の市場価格との差を見ることにより、市場が予想する将来の物価上昇率(期待インフレ率)の目安を得ることもできます。

2.最近の動向

 財務省は13日、2015年1月より「物価連動国債」の個人の保有を可能にすると発表しました。「物価連動国債」の発行は2008年のリーマンショックを契機にデフレ観測が強まったことなどから同年10月に停止されました。その後、2013年10月に発行が再開されています。また再開以前は元本の保証はありませんでしたが、再開後は償還時に元本が保証されるようになりました。償還時にデフレになっても償還価格は額面価格が保証されることになります。
 現在の発行残高は4兆円弱と、普通国債残高の1%に満たない規模です。2013年度は6,000億円が発行済み、2014年度は1兆6,000億円の発行が予定されています。

3.今後の展開

 日銀は2%の「物価安定の目標」を掲げ、長らく続いたデフレ脱却をめざしています。コアCPIは2013年6月以降、前年同月比でプラス基調が続いており、デフレ懸念は概ね後退したと思われます。国内の主な経済指標も、消費税増税の影響は懸念されながらも、景気回復の底堅さを示しており、資産運用においては将来のインフレへの対応策を考えることが必要になってきていると思われます。こうしたことが「物価連動国債」発行再開、個人への保有解禁の背景にあります。
 インフレが高進する環境下では、「モノ」の価値が「おカネ」の価値を上回るため、現金や預貯金の実質的な価値は目減りすることがあります。「物価連動国債」が個人にも解禁されることで、インフレ対応策の選択肢が広がります。一方、デフレ環境下では、「物価連動国債」の価格は下落することを想定しなければなりません。物価の動向に関する将来展望をしっかりと持ったうえでの投資判断が望まれるところです。

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