【キーワード No.1,328】GWにかけて個人消費は底堅く推移 (日本)
2014年5月15日
1.消費税増税後の消費動向を把握するには?
内閣府は「消費税率引上げ後の消費動向について」と題し、新車、家電、飲食料品、百貨店の動向などを週次で発表しています。これは、1997年4月以来17年ぶりに消費税率が引き上げられた影響を細かく把握するため、特別に実施している調査です。また、複数の民間企業や報道機関も独自の調査結果を発表しています。
2.最近の動向
4月の主な小売業の売り上げは業態によってまちまちでした。現在までに個別企業が公表した結果で総括すると、衣料品・靴店、ホームセンター、外食、100円ショップ、ディスカウントストア、コンビニなどで比較的底堅い結果となりました。百貨店、家電量販店、カーグッズ販売店などは前年比2桁の減少が目立ちました。
前回の消費税増税時の経験から、販売促進を強化して売り上げの減少を食い止めたり、外食のようにそもそも駆け込み需要が起こりにくい業態だったり、製造部門を併営している強みから販売・価格戦略に勝っているなど、企業固有の性質や対策の内容によって売り上げに差が出た形です。

3.今後の展開
今年のゴールデンウィーク(GW)は日並びに恵まれなかったこともあり、ショッピングや外食を楽しむ向きが多かったと見られます。大都市圏の大型ショッピングモールでは、記録的な人出となったところもありました。また、アミューズメントパークや映画など、娯楽施設の入場者数も堅調だったようです。
民間企業が実施している消費動向調査によると、GW前までは駆け込み需要の反動で、消費支出は前年に比べて10%程度落ち込んだものの、GW中は、天候に恵まれたことも幸いし、前年に比べて支出が増加したとみられます。今年は、エルニーニョ現象が発生することが予想されており、夏場の消費に不透明感が残ります。しかし、経済活動の停滞につながるような大きな外的ショックが起きない限り、駆け込み需要の反動は程なく終息し、賃金、ボーナスの増加が下支えする形で、個人消費は緩やかな増加傾向を取り戻すことが期待されます。