【キーワード No.1,326】4月の「街角景気」は先行きが緩やかに回復(日本)
2014年5月13日
1.「街角景気」とは?
内閣府が毎月実施する「景気ウォッチャー調査」で把握できます。「街角景気調査」とも呼ばれるこの調査は、タクシー運転手、コンビニエンスストアの店長、レストラン経営者など、景気に敏感な約2,000人が調査対象(ウォッチャー)です。算出された指数から好不況を判断する際の中立水準は、50ポイントです。
2.最近の動向
4月の「景気ウォッチャー調査」(調査期間4月25日~30日)は、「現状判断指数」が前月比▲16.3ポイントの41.6ポイントとなりました。3月は2000年1月の調査開始以来の最高水準を記録しており、消費税率引き上げをはさみ、大幅な低下となりました。なかでも、家計動向の小売関連は同▲28.8ポイントの31.9ポイントと低下幅が顕著に大きくなりました。街角の声には、「増税前には、来客数と売上は前年の150%で推移していたが、4月は来客数が同70%、売上が同80%になっている(中国地方の家電量販店)」といったものがありました。一方、「増税前の駆け込みはほとんどなかったこともあり、その反動はなく、ほぼ前年並みで推移している(東海のレストラン)」といった声もあり、飲食関連は同▲0.7ポイントと小幅な低下にとどまりました。

3.今後の展開
2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断指数」は前月比+15.6ポイントの50.3ポイントと、5カ月ぶりに上昇しました。2013年11月の54.8ポイントから2014年3月の34.7ポイントまで徐々に低下してきましたが、4月は大幅に上昇し、中立水準の50ポイントを上回りました。「街角景気」は、消費税増税の影響はある程度大きかったものの、その影響は短期に収束するとみているようです。こうしたことから内閣府は景気の基調判断を「緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる。先行きについては、緩やかに回復していくと見込まれる」としました。
今年のゴールデンウィークは日並びに恵まれなかったものの、旅行客数は過去3番目に多いと推定され、連休後半には多くのレジャー施設などが人出で賑わいました。失業率の低下等にみられるように雇用情勢も改善が続き、今夏のボーナスは前年に比べ増加する企業が多いようです。雇用や所得の回復に支えられ、増税の影響が短期間で収束し、消費が堅調さを取り戻すことが期待されます。