ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,316】17年ぶりに増加「スーパー売上高」、次の一手は?(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,316】17年ぶりに増加「スーパー売上高」、次の一手は?(日本)

2014年4月24日

1.「スーパー売上高」を把握するには?

 日本チェーンストア協会が毎月発表するチェーンストア販売統計で把握できます。最新3月末の調査対象は国内会員企業59社、9,151店で、今回、2013年度(2013年4月~2014年3月)の結果が判明しました。

2.最近の動向

 2013年度のスーパー売上高(既存店)は前年度比+0.8%の12兆9,524億円と、17年ぶりに増加しました。前回の消費税増税(3%⇒5%)の直前だった1996年度以来のことです。
 2013年度は、年度初めこそ悪天候でやや出遅れたものの、7-9月期からは前年比での減少傾向に歯止めがかかり、横ばい程度となりました。こうしたところに、増税直前の2月~3月の駆け込み消費が最後の一押しとなった格好です。

3.今後の展開

 2014年度のスーパー業界を展望すると、駆け込み消費の反動減は1~2カ月で一巡し、販売動向は比較的早期に戻ると見られます。夏場はボーナスの増加などで、消費者の財布の紐も再び緩んでくると見られ、ちょっと贅沢な「自分・家族へのご褒美需要」を獲得できるか否かが、年度前半の焦点となりそうです。
 ここ数年、日本の小売業界では、コンビニが揚げ物や惣菜の販売、自社ブランド商品での低価格化などでスーパーの得意分野に食い込み、市場のシェアを獲得してきました。一方、都市部の大手スーパーチェーンなどは、2014年度に200㎡を下回るような小型店舗の出店で攻勢をかける見込みです。主要スーパー各社は、歩いて行ける好立地での店舗を増やし、肉、魚、野菜の生鮮3品や惣菜などを主力とした品ぞろえの豊富さ、およびコンビニを下回る価格設定で、巻き返しを図る方針を示しています。
 スーパー業界は生活に密着しており、なかなか値上げが難しい商品や店舗もあることは事実です。競争の激化が想定されるなか、集客力・価格設定力で強みを持つ店舗づくりや、配達サービスなどの高付加価値化を行ってきたか否かが、生き残りのカギとなりそうです。また、高度成長期に創業された地場のスーパーなどでは後継者問題も視野に入る段階と見られ、一段の再編も想定されます。
 総じて、長期の減少傾向にあったスーパー売上高は一旦底を打ち、業界全体も新たな活路を目指しています。安倍政権が目指す「賃金上昇の好循環の実現」の恩恵を受けることも想定され、今後のスーパー業界の行方に注目です。

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