ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,301】初公表された日銀短観「企業の物価見通し」(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,301】初公表された日銀短観「企業の物価見通し」(日本)

2014年4月3日

1.日銀短観「企業の物価見通し」とは?

 昨年11月、「全国企業短期経済観測調査」(短観、調査対象は約1万社)における調査項目の見直し方針が公表され、エコノミストや学識経験者、経済団体などから広く意見・提案が集まり、今年3月調査から「企業の物価見通し」が公表されることとなりました。

2.最近の動向

 2日、日銀短観3月調査において初めてアンケート調査が行われた「企業の物価見通し」の結果が公表されました。これは、短観調査対象企業の経営者に物価の先行き予想を聞いたものです。大企業・中小企業の規模別、製造業・非製造業の別に、1年後、3年後、5年後の「物価全般の見通し」と「販売価格の見通し」について調査・公表されました。なお、回答者には消費税増税など制度の変更の影響を除いて回答するよう依頼されています。
 「物価全般の見通し(平均)」は、全規模・全産業では1年後は+1.5%、3年後は+1.7%、5年後は1.7%となりました。日銀は昨年+2%の「物価安定の目標」を掲げ、今年1月の「展望レポート(中間評価)」では2015年度の物価見通しを+1.9%と見ています。今回の調査では、この日銀の目標・見通しには届かない結果となりました。
 「販売価格の見通し(平均)」は、全規模・全産業では1年後は+1.1%、3年後は+1.8%、5年後は+2.1%となりました。分類ごとでは中小企業・非製造業は5年後を+3.5%と見ており、高い伸びが予想されています。

3.今後の展開

 「企業の物価見通し」が公表された同日、日銀からは「生活意識に関するアンケート調査(2014年3月調査)」の結果も公表されました。この調査は、生活者の意識や行動を大まかに聴取する世論調査の一種で、「物価に対する実感」も含まれます。これによると、1年後の物価は+3.0%(中央値)、5年後までは毎年+2.0%(同)と、「企業の物価見通し」よりも高く予想されています。頻繁に購入するものやガソリン価格の動向などから、物価上昇を予想する人が多くなりました。今回日銀が公表した2つの調査結果では、企業も生活者も今後の物価上昇を見込んでいます。ただし、今回の短観の「企業の物価見通し」は初めて調査・公表されたものであり、今後の調査結果がどのように推移するか興味深いところです。黒田日銀の追加緩和策が浮上するなか、企業の物価見通しが目標の+2%に向けて上向くか、次回以降の日銀短観にも注目です。

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