【キーワード No.1,299】今年の新入社員は「自動ブレーキ型」(日本)
2014年4月1日
1.今年の新入社員のタイプとは
毎年、その年の新入社員について、いくつかの団体や企業が調査を行い、その結果を発表しています。
例えば日本生産性本部は、多くの企業や学校などの就職・採用関係者の協力を得て、毎年新入社員の特徴を検討し、そのタイプを近年の流行やヒット商品にちなんで命名しています。近年では「奇跡の一本松型」(2012年度)や、「ロボット掃除機型」(2013年度)といったものがありました。
2.最近の動向
3月26日、日本生産性本部は今年の新入社員のタイプを「自動ブレーキ型」と命名すると発表しました。
携帯型のIT端末などを駆使したスピード感の求められる就職活動のなか、敏感な情報収集能力と速い頭の回転が「自動ブレーキ」のようなスマートさをほうふつとさせることなどが理由です。
一方、就職活動では「そこそこの内定を得ると、壁にぶつかる前に活動を終了」したとの特徴が指摘されています。かつて車のパワーを競った時代の上司からは、エコ性能と自動制御能力を重視するような姿勢がいささか物足りないとの声も聞かれました。今回の命名は、スマートに停止するだけでなく、失敗を恐れず当たって砕けろ、とのエールを込めたものでもあるようです。
3.今後の展開
文部科学省と厚生労働省が調査した今春卒業の大学生の就職内定率(2月1日時点)は前年同期比+1.2ポイントの82.9%でした。4月1日時点の最終調査では、これが90%台半ばまで伸びていくと思われます。これらの水準を踏まえると、今年の就職戦線は、約5年ぶりの良好なものだったと言えそうです。
また、折りしも今年の春闘では業績の良好ないくつかの企業で、相次いで「ベア」の話が持ち上がりました。多くの企業は若手の賃金水準を引き上げるなどして、働きがいを高めるよう、一段と配慮しています。
日本経済の好循環が身の回りでも始まりつつあるとの実感は、多くの新入社員のセンサーにも届いたのではないでしょうか。今年の新入社員が明るさに満ちたスタートを切り、将来はどんな難路も踏破する名車へとバージョンアップしていくよう、期待を込めて応援したいところです。