【キーワード No.1,285】消費税増税と天候要因が強く表れた2月の「街角景気」(日本)
2014年3月11日
1.街角景気を把握できる指標は?
内閣府が毎月実施する「景気ウォッチャー調査」で把握できます。「街角景気調査」とも呼ばれるこの調査は、タクシー運転手、コンビニエンスストアの店長、レストラン経営者など、景気に敏感な約2,000人が調査対象(ウォッチャー)です。算出された指数から好不況を判断する際の中立水準は、50ポイントです。
2.最近の動向
2月の「景気ウォッチャー調査」(調査期間2月25日~28日)は、街角の景気実感を示す「現状判断指数」が前月比▲1.7ポイントの53.0ポイントと、2カ月連続で低下しました。
具体的な街角の声には、「大雪の影響で旅行を中止したり、控える人が多かった(四国の旅行代理店)」、「雪による路線運行停止などで荷が滞り、厳しい面があった(北関東の輸送業)」など、2月中旬の2度にわたる大雪の影響が挙げられました。また、自動車業界などでは消費税率引き上げまでに納期が間に合わなかったり、素材関連では駆け込み需要の影響が一服している様子などが報告されました。
3.今後の展開
2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断指数」は前月比▲9.0ポイントの40.0ポイントと、大きく低下しました。1月にも同▲5.7ポイントと大幅に低下しており、2カ月で合計▲14.7ポイントの急低下です。直近では景気が低迷していた政権交代前の2012年10月に41.7ポイントまで低下しましたが、今回はこれを下回り、東日本大震災翌月の2011年4月の38.4ポイントに迫る水準です。しかし内閣府は、景気の基調判断を「景気は、緩やかに回復している。ただし、先行きについては、消費税率引き上げ後の需要の反動減等の影響が見込まれる」と前月から据え置きました。消費税率引き上げをいよいよ来月に控え、既に打ち出されている経済対策をもってしても駆け込み需要の反動がどの程度表れるのか分からない、という先行きへの不透明感や懸念が、指数の大幅低下の主因です。一方で、雇用については「現在の求人件数は底堅く、急激に悪化するとは考えにくい」との声も報告されています。失業率や求人倍率に見られる雇用環境の改善のみならず、来月から本格化する春闘を前に、複数の企業でベア(ベースアップ)に応じる姿勢が示されていることからも、雇用の確かな復調が増税後の消費者マインドを支えることが期待されます。