【キーワード No.1,284】先行して増加したパート・アルバイトの賃金(日本)
2014年3月10日
1.パート・アルバイトの賃金を知るには
パート・アルバイト、または派遣社員の賃金(時給)は、市販されている様々な求人雑誌や新聞の折込みなどで知ることができます。そのほか、求人情報を提供している企業が独自に労働条件のデータを集計し、地域別、職種別の平均時給をホームページで公表している場合もあります。
2.最近の動向
3月4日に厚生労働省が発表した1月の「毎月勤労統計調査」によると、所定内賃金(残業、深夜、休日の勤務手当を除く)は前年同月比+0.1%でした。プラスは2012年3月以来1年10カ月ぶりのことです。これに対して、パート・アルバイトの賃金は2010年から2011年にかけて底を打ち、ここまで緩やかに回復してきました。2013年に入り、景気回復が鮮明化してくると、さらに増勢が鮮明化しました。特に時給の低い外食や軽作業の回復がけん引しています。
所定内賃金は、一定以上の期間、日数働いていればパート・アルバイトも派遣社員も含まれる数字です。その中でパート・アルバイトの賃金が増えてきたのですから、正社員の給与は、少なくとも昨年12月までは減り続けてきたことが分かります。
3.今後の展開
パート・アルバイトの賃金は、デフレ経済に蝕まれた日本企業にとって、事業環境によって人件費をコントロールしやすくする雇用形態として重宝されてきたといえます。そのため、賃金が先行して上昇しやすかったものと思われます。現在、これまでの景気回復、企業業績の改善から、正社員の賃上げが日本経済にとってのホットなテーマとなっています。4月から始まる消費税増税による負担増をカバーし、景気を下支えする方策としても注目されています。この際、パート・アルバイトの賃金も相応に上昇してもおかしくありません。派遣社員も同様です。縮こまるばかりのこれまでの日本から、パイ全体が拡大していく日本への脱却へ、賃金所得の増加が大きな力になって成し遂げられることが期待されます。