【キーワード No.1,266】「街角景気」に迫る消費税増税の影響(日本)
2014年2月12日
1.街角景気を把握できる指標は?
内閣府が毎月実施する「景気ウォッチャー調査」で把握できます。「街角景気調査」とも呼ばれるこの調査は、タクシー運転手やコンビニエンスストアの店長、レストラン経営者など、景気に敏感な約2,000人が調査対象(ウォッチャー)です。算出された指数から好不況を判断する際の中立水準は、50ポイントです。
2.最近の動向
1月の「景気ウォッチャー調査」(調査期間1月25日~31日)は、街角の景気実感を示す「現状判断指数」が前月比▲1.0ポイントの54.7ポイントと、3カ月ぶりに低下しました。
街角の声のなかでは、「常連客の客単価が低下していたり、月曜から水曜の来客数が減ったり、細かく見ると買い控えが始まっているようだ(北海道の高級レストラン)」というように、飲食関連からの減速感の指摘が多く挙げられました。
一方、街角では自動車、住宅関連の販売の伸びにあまり減速感は感じられていないようです。また、これら業種での従業員の募集も徐々に持ち直していることが指摘されました。
3.今後の展開
2~3カ月先の見通しを示す「先行き判断指数」は前月比▲5.7ポイントの49.0ポイントと、大きく低下しました。低下幅は、震災のあった2011年3月以来のものです。消費税増税で消費意欲が低下することや、今は駆け込み需要の恩恵を受けているものの、その反動があることなどが懸念されています。また、調査期間の直前~期間中に新興国通貨の急落と株安があり、回答者の心理に影響した可能性もあります。
内閣府は景気の基調判断を、「緩やかに回復している」から、「景気は、緩やかに回復している。ただし、先行きについては、消費税率引き上げ後の需要の反動減等の影響が見込まれる」と下方修正しました。
しかし、4月の消費税増税の後、7-9月期頃から、5.5兆円規模の景気対策の効果も期待できることは、足元ではあまり意識されていないようです。また、この春先には賃上げ、夏ごろにはボーナスの増加などといった、企業から家計への好循環も想定されます。これらを踏まえれば、消費税増税による消費意欲の低下はあると思われますが、街角の景気も夏にかけて徐々に熱を取り戻していくものと思われます。