ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,262】物価上昇に向け「マネタリーベース」は順調に増加(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,262】物価上昇に向け「マネタリーベース」は順調に増加(日本)

2014年2月5日

1.マネタリーベースとは?

 「日本銀行(日銀)が供給する通貨」のことです。具体的には、市中に出回っている「流通現金」(日本銀行券の発行高+貨幣の流通高)と「日本銀行の当座預金」を合計したものです。マネーストックが「金融部門全体(中央銀行を含む)から経済に対して供給される通貨」であるのに対し、マネタリーベースは「中央銀行(日銀)が供給する通貨」です。マネタリーベースが信用創造の基礎となるお金であるのに対し、信用創造によって生み出されたお金が市中にどの程度流通しているのかを見るのがマネーストックです。一般に、マネタリーベースが拡大すると、物価は上昇、為替は円安になるとされています。

2.最近の動向

 4日、日銀は1月のマネタリーベースを前年同月比+51.9%(平残)と公表しました。日銀は昨春導入した「量的・質的金融緩和」で、「物価安定の目標(消費者物価の前年比上昇率2%)」を2年程度の期間に出来るだけ早期に実現するため、マネタリーベースを2年で2倍程度となるよう金融市場調節を行っています。具体的には、2012年末のマネタリーベース138兆円に対し、年間約60~70兆円に相当するペースでの増加と、2013年末で200兆円、2014年末で270兆円とすることが目標とされました。
 2013年末のマネタリーベースは202兆円と、目標を達成しました。黒田日銀総裁は、昨年12月の講演で、「2年後(2014年末)のマネタリーベースは名目GDPの約60%に達し、米国や英国の22%を遥かに凌駕する規模であり、歴史的にも例がない金融緩和」だと述べています。こうした強く明確な公約とそれを裏付ける「異次元の金融緩和」によって、これまでのデフレマインドの悪循環を断ち切り、物価の先高感を醸成することが日銀の狙いといえます。

3.今後の展開

 先月発表された12月の消費者物価指数(CPI)は、日銀が物価上昇目標の対象とするコアCPI(生鮮食品を除く総合指数)が前年同月比+1.3%、物価の基調をより反映するコアコアCPI(食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数)が同+0.7%と、デフレ脱却の道筋がより明確となってきました。先月発表された日銀の展望レポート中間評価では物価の見通しは変わらず上昇方向と見られています。一方、市場では物価上昇目標の2年での達成は困難と見られていることや消費税率引き上げに伴う景気減速への対応として追加金融緩和を求める声が根強くあります。マネタリーベースの再拡大などの追加金融緩和策に踏み込むのか、物価と景気の動向に対する日銀の判断が注目されます。

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