ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,260】2014年の「外食産業」の展望(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,260】2014年の「外食産業」の展望(日本)

2014年2月3日

1.外食産業の規模は?

 一般の飲食店をはじめ、宿泊施設の飲食や集団給食なども含めた外食産業全体の市場規模は23兆2,386億円(2012年)と推計されています(外食産業総合調査研究センター調べ)。
 また、日本フードサービス協会が会員企業の動向を毎月調査した「外食産業市場動向調査」から、同産業の大まかな規模、客数、客単価が把握できます。2013年12月の回答数は213社、3万1,349店舗でした。

2.最近の動向

 日本フードサービス協会が発表した2013年の「外食売上高」(全店ベース)は、前年比+0.7%と2年連続で増えました。
 1年を振り返ると、高価格商品の導入に成功した業態が成功した一方、低価格帯の不振が目立ちました。これは「客数」が前年比▲0.1%と減少した一方、「客単価」が同+0.8%となって全体を押し上げたこととも整合的です。(売上高=客数×客単価)
 売上高が好調だったのは、同+3.3%となったファミレスです。一皿2,000円近いステーキや、フォアグラを使った「ちょい高」メニューが人気でした。焼肉系のファミレスは過去のユッケ問題などの印象も払しょくされて客数が10%近く増え、同+12.5%となりました。
 一方、ファ-ストフードは同▲0.5%と苦戦しました。こちらも緩やかに価格帯の引き上げを進めているものの、ハンバーガーショップなどの「洋風」系は客数が前年から5%近く減少し、伸び悩みました。

3.今後の展開

 昨年苦戦した業態の例として牛丼チェーンが挙げられます。大幅値下げを試した企業の集客効果も長くは続かず、一方で急な値上げも難しいなか、売上高は前年割れ傾向となりました。また、従来から低価格化・出店競争の激化が指摘された回転寿司も業績不振から、大手企業の経営統合方針が浮上しています。
 低価格帯の苦戦、4月からの消費税増税を念頭に、2014年はいかに「値上げ」を導入するかが、最大の課題と見られます。円安・景気回復などを反映した原材料費や人件費の上昇は続いており、上記の牛丼チェーンなどでも、2014年は値上げに動く可能性が高まっています。
 「ちょい高」需要は将来的にも「健康」、「宅配」など、様々な付加価値を上乗せする余地があると思われます。今後は惣菜・弁当などの「中食」も巻き込んだ、幅広い競争が想定されます(中食は外食産業と別に約6.5兆円規模)。「食」という身近な分野で高付加価値化が進むことは、デフレ脱却の一助となるだけでなく、消費ムードも好転させそうです。2014年は、同産業からの明るいニュースに期待がかかります。

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