ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,256】「2013年の貿易収支」は過去最大の赤字(日本)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,256】「2013年の貿易収支」は過去最大の赤字(日本)

2014年1月28日

1.日本の貿易収支を把握するには?

 財務省が毎月発表する「貿易統計」によって把握することができます。戦後、日本は原材料を輸入して製品を輸出する「加工貿易」が発展したことから、1960年代半ば以降、「貿易黒字国」となりました。しかし2011年には、世界的な景気の減速による輸出の減少や、震災の影響による燃料輸入の増加などから、31年ぶりに貿易赤字に転じ、2012年には▲6兆9,411億円とさらに赤字幅が拡大しました。

2.最近の動向

 27日、財務省が発表した「12月の貿易統計」によると、輸出は前年同月比+15.3%の6兆1,105億円、輸入は同+24.7%の7兆4,126億円となりました。この結果、12月の貿易収支は▲1兆3,021億円(季節調整済みでは▲1兆1,486億円)と、18カ月連続の赤字かつ12月としては過去最大の貿易赤字となりました。
 また2013年通年では、輸出は前年比+9.5%の69兆7,877億円と3年ぶりに増加しました。円高是正による輸出価格の上昇が影響する一方、輸出数量は同▲1.5%と若干の減少となりました。また、輸入は同+15.0%の81兆2,622億円と過去最大の輸入額となりました。国内では震災以来の燃料輸入の増加が続いていることに加え、内需が堅調なことから大幅な輸入増加が続いています。この結果、2013年通年の貿易収支は▲11兆4,745億円と過去最大の貿易赤字となりました。

3.今後の展開

 「12月の貿易統計」に先立ち、14日に同省が発表した「11月の国際収支」によると、モノやサービス、所得(配当、利子などの支払・受取)の収支を示す経常収支は▲5,928億円と、赤字幅は過去最大となりました。所得収支が小幅な増加にとどまる一方、大幅な貿易赤字が続いていることが主因です。これまで企業の海外移転が進んできたことにより、円高是正がなされても輸出の増加に繋がりにくくなっていることも指摘されています。アベノミクスの成長戦略では、法人税率の引き下げや国家戦略特区など、企業の国内での投資促進が挙げられており、産業競争力の強化が図られる方針です。当面は燃料輸入の増加基調も見込まれることから貿易赤字が継続する見込みですが、成長戦略の具体化とその実施により輸出の増加が図られ、対外収支が改善に向かうことが望まれます。

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