【キーワード No.1,250】円安株高が押し上げた2013年の「百貨店売上高」(日本)
2014年1月20日
1.百貨店売上高を把握するには?
日本百貨店協会が毎月発表する「全国百貨店売上高」で把握することができます。2013年12月の調査対象は85社・242店舗でした。発表内容には、売上高のほか、天候、土日祝日の合計日数、入店客数などがあります。
2.最近の動向
先週17日に発表された12月の「百貨店売上高」は、前年と比較可能な既存店ベースで前年同月比+1.7%と、2カ月連続のプラスとなりました。また、全店ベースの売上高は7,257億円でした。
12月は東日本・西日本を中心に気温が低下したことが冬物衣料の需要に繋がり、衣料品は同+0.6%となりました。また、株価の上昇や冬のボーナスの増加から消費者の消費意欲が高まったことに加え、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が追い風となり、クリスマス商戦を軸に、ラグジュアリーブランド(身のまわり品)が同+5.2%、高級時計や宝飾品(美術・宝飾・貴金属)が同+15.7%となるなど、高額商品が活況でした。
同時に発表された「2013年年間の売上高」(既存店ベース)は、同+1.6%と2年連続のプラスとなりました。また全店ベースの売上高総額は+1.2%となり、1997年以来16年ぶりに前年実績を上回りました。
3.今後の展開
2011年の震災後数カ月は、高額商品には買い控えなど自粛の動きがありましたが、同年後半には気分転換のためのご褒美消費や、高くても確かなモノを求める本物志向の高まりにより、堅調となりました。そこに、2012年の政権交代前後から株価が上昇基調となり、株価上昇などで家計の保有資産の価値が上昇することで高額商品の消費が非常に好調となる、いわゆる資産効果も加わりました。この結果、美術・宝飾・貴金属の分野は足元で16ヶ月連続のプラスとなり、2013年の百貨店売上高のけん引役となりました。
2013年の百貨店売上高のもう一つのけん引役は、訪日外国人客です。2013年の訪日外国人数は、政権交代前後からの円安の影響などにより史上初の1,000万人超(2013年12月20日時点で1,002万人)を達成しました。百貨店での訪日外国人による売上高も前年比+91.6%と、前年のほぼ2倍となりました。
今年は春に消費税率の引き上げを控え、高額商品を中心に一時的に消費が減退すると見込まれます。しかし、日米の金融政策の方向性の違いなどから円安基調となることが見込まれ、株価上昇や訪日外国人客の増加が引き続き百貨店売上高を下支えすることとなりそうです。