【キーワード No.1,248】景気指標に振られ、株価は大幅変動(日本)
2014年1月16日
1.年末年始の市場動向
2014年1月6日、今年最初の取引となった日本の株式市場は、日経平均株価が前年末比▲382円43銭の1万5,908円88銭となるなど下落しました。欧米市場では既に1月2日に年明けの取引が始まっていましたが、年末までに発表された良好な経済指標を背景に上昇していた株価は、利益確定の売りに押される形で下落しました。こうした欧米市場での下落や、円高となっていた為替相場を受け、日本株も下落しました。また8日には、今月からの量的緩和(QE)の縮小を決定した2013年12月のFOMCの議事録が発表され、QE縮小のペースが速まる思惑が強まったことなどから米国株は下落、9日の日本株も連れて下落しました。そして、QE縮小ペースの判断の鍵を握る雇用統計の発表(10日)が大きな注目となっていました。
2.最近の動向
14日の日経平均株価は前日比▲489円66銭の1万5,422円40銭と、大幅に下落しました。10日に発表された米国の12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比+7.4万人と事前の市場予想を大幅に下回る結果でした。雇用者増の減速は一時的との見方が優勢なものの、景気の先行きへの不透明感が強まり米国株は下落、為替も円高となったことから、三連休明けの日本株も大幅に下落しました。
一方、翌15日の日経平均株価は前日比+386円33銭の1万5,808円73銭と大幅な上昇となりました。前日14日に発表された日本の11月の経常収支が大幅な赤字となったことにより欧米市場の取引時間において円安となったことや、前日の大幅な株価下落に対する押し目買いが優勢となったことが主な要因と考えられます。
3.今後の展開
年末年始の金融市場を振り返ると、日米の景気の基調には大きな変化が無い中で、これまでの株価上昇に対する利益確定売りや米国のQE縮小ペースを巡る思惑が主な変動要因となりました。日本経済は、失業率・有効求人倍率など雇用環境は順調に回復し、消費者物価指数にも本格的なデフレ脱却が見られつつあり、日銀短観でも大企業から中堅・中小企業に至るまで裾野広く景況感の改善が見られています。こうしたなかでも日銀には、景気の回復ペース次第では追加の金融緩和を求める声があります。一方、米国ではQE縮小に舵を切り、今後はその縮小ペースをどの程度速めるのかが焦点となります。こうした日米の金融政策の方向性の明確な違いは、円安基調を下支えするものと考えられます。また、米国のQE縮小決定の背景には米国経済の回復基調があり、企業業績も堅調です。こうしたことから今年も株式市場は上昇基調を維持することが期待されます。