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「OPEC総会」の見方(グローバル) 【キーワード】

2016年5月27日

<今日のキーワード>
6月2日にオーストリアのウィーンで「OPEC(石油輸出国機構)総会」が開催されます。総会は毎年、四半期に一度定期的に開催されます。4月中旬に開催された、OPEC加盟国とロシアなど非加盟の産油国など10数か国が参加した産油国会合では、生産量を凍結する(増産しない)合意に至らずに終了しました。今回の総会では、合意は成立しないとの見方が大勢を占めています。

【ポイント1】4月の産油国会合の総括

イランが欠席、サウジは足並みが揃わない生産量凍結を拒否

■4月の産油国会合は、2月にサウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4カ国で暫定的に合意していた生産量の凍結に対し、他の産油国の参加を促し、新たな生産スキームを構築することを協議していましたが、結論が出ないままに終了しました。

■欧米などからの経済制裁が解除されたイランが増産を主張し、会議を欠席しましたが、最大の輸出国であるサウジアラビアが、産油国間で足並みが揃わない生産量の凍結を拒否した模様です。このため原油生産に関する協議は、6月2日に開催される「OPEC総会」まで持ち越しになりました。

【ポイント2】生産量凍結の合意は難しそう

自国優先の主要産油国

■産油国会合の協議決裂の背景には、豊富な埋蔵量を持つサウジアラビアが、原油価格を低位に保ち米国を中心とする高コストのシェールオイルを撤退させたいうえ、経済制裁が解除されたイランの今後の増産に対し、自国のシェアを防衛したい、などの事情があげられます。

■こうした経済的要因に加え、サウジアラビアとイランとの政治的緊張関係の高まりも関係しています。この状況は現在も変化していないため、今回の「OPEC総会」で、生産量凍結の合意が成立する可能性は低いと見られます。

【今後の展開】合意なしでも原油価格は底堅い

■需給緩和が解消される見通し
原油市況は4月の産油国会合が物別れに終わった直後は弱含みましたが、その後25%程度上昇しています。複数の産油国での生産障害に加え、米国シェールオイルの減産などで需給緩和が解消される見通しが出てきたためです。仮に今回の総会で合意が成立しなくても、原油市況下落の可能性は低そうです。

■株式やハイ・イールド債券などには追い風か
原油価格が今後も底堅く推移することは、産油国や石油関連企業の収益や財務懸念が低下するため、投資家のリスク選好姿勢を高めることにもつながります。このため、世界の株式やハイ・イールド債券、MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)などが、注目される可能性があるのではないかと思われます。

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