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「ヘリコプター・マネー」とは?(グローバル)【キーワード】

2016年4月27日

<今日のキーワード>
「ヘリコプター・マネー」とは、ヘリコプターから現金をばらまくように、政府が国民に現金を供給する政策のことです。ただ実際に現金がばらまかれることはなく、一般には中央銀行による国債の引き受け(財政ファイナンス)と解釈されています。具体的には、中央銀行が引き受け目的で発行された国債を政府から購入し、政府はその資金を国民への補助金支給や減税実施に充てることになります。

【ポイント1】市場では「ヘリコプター・マネー」の議論が盛り上がる

背景には日欧の物価の伸び悩み

■日本や欧州ではマイナス金利政策にもかかわらず物価が伸び悩んでいます。そのため最近は市場で金融政策の限界がささやかれる一方、「ヘリコプター・マネー」の議論が盛り上がっています。この「ヘリコプター・マネー」は、米経済学者のミルトン・フリードマン氏が、1969年の論文(”TheOptimum Quality of Money”)のなかで、通貨供給量が拡大した場合、どのように物価が上昇するかを示すために使った例です。

【ポイント2】物価は上昇する可能性

ただし悪性インフレの恐れも

■「ヘリコプター・マネー」を実際の政策として強力に推進した場合、物価は上昇する可能性があります。ただ中央銀行が政府から直接国債を引き受けることで、財政規律が緩んで紙幣が増発されると、物価上昇に歯止めがかからなくなり、悪性のインフレを引き起こす恐れもあります。

■そのため先進各国では中央銀行による国債の引き受けを禁止しています。日本においても日本銀行における国債の引き受けは、財政法第5条によって原則禁止されています。

【今後の展開】「ヘリコプター・マネー」はまだ議論の域を出ていないと考える

■バーナンキ元FRB議長は肯定的
過去にフリードマン氏の例を講演で紹介し、ヘリコプター・ベンのあだ名がついた、ベン・バーナンキ元米連邦準備制度理事会(FRB)議長は4月11日、自身のブログで「ヘリコプター・マネー」は極端な需要不足の際などには有効な手段であると述べ、話題になりました。

■黒田総裁、ドラギ総裁は否定的
一方、日銀の黒田総裁や欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、「ヘリコプター・マネー」について、全く考えていない、議論したことがないとコメントしています。そのため「ヘリコプター・マネー」は、まだ議論の域を出ていないと考えます。

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