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「OPEC」と「シェールオイル」(グローバル)【キーワード】

2016年1月20日

<今日のキーワード>
「OPEC(石油輸出国機構)」は、産油国の利益を守る目的で、石油の生産量や価格の調整を行う組織です。加盟国の生産量は世界全体の約4割を占めます。
「シェールオイル」は地中のシェール(頁岩=けつがん)層に含まれる石油のことです。新たな石油掘削方法の開発により、アメリカ、カナダを中心に2005年頃から急速に生産量を伸ばしています。

【ポイント1】原油価格下落の主因は供給過剰

「シェールオイル」の開発進展で米国が世界最大の産油国に
■最近の世界的な株価の下落の一因として、原油価格の下落があげられています。原油価格の下落は消費国にとってはメリットですが、産油国やエネルギー産業にとっては収入の減少に直結するばかりか、産油国の財政や関連企業の破綻が世界的な金融不安の引き金にもなりかねないためです。

■原油価格下落の最大の要因は、「シェールオイル」をはじめとする生産量の増大と、需要の伸び悩みによる需給緩和です。「シェールオイル」の本格的な開発により、米国の原油生産量は、2006年の日量683万バレルから14年には同1,164万バレルへと急増し、サウジアラビアを抜き世界最大に達しました。

【ポイント2】「OPEC」の機能弱体化も

サウジアラビアは減産に消極的
■昨年12月の「OPEC」総会では、減産の実施を打ち出せませんでした。過去には、「OPEC」内で最大の生産量を有するサウジアラビアが、自国の生産量を削り、需給を調節する役割を果たしましたが、今回は見送られました。

■サウジアラビアは「OPEC」の中で最大の埋蔵量を有しますが、長期的観点では高い油価が、「シェールオイル」などの増産を招いたり、代替エネルギーの開発進展で、将来の原油需要にとってマイナスになると考えていると見られます。原油価格の低下を容認する姿勢です。

【今後の展開】需給の鍵は「OPEC」の生産姿勢と「シェールオイル」の減産

大幅な財政赤字との綱引き
ただし、現在の30ドル割れの原油価格水準ではサウジアラビアの財政は大幅な赤字に転落する見込みです。政府は社会福祉などの財政支出を減らす方向で対応する見通しですが、王制維持のためには大幅な削減はやりづらい事情もあります。

石油政策をどうするかがポイント
「シェールオイル」の採掘コストは相対的に高く、現在の原油価格では多くの油田が赤字と見られ、今後生産量は減少すると考えられます。今後の需給の鍵は、サウジアラビアを中心とする「OPEC」の生産姿勢と「シェールオイル」の減産ペースが重要と思われます。

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