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足元の「原油価格」の動向(グローバル)【キーワード】

2015年4月20日

<今日のキーワード>
原油価格の代表的な指標に、ニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場されているWTI原油先物(以下、WTI)があります。WTIは昨年半ば以降、世界経済に対する慎重な見方や石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りなど、複数の要因が重なって大幅な下落が続いていました。3月以降は緩やかに持ち直しつつあります。

【ポイント1】需給改善への期待

米国で生産減少の兆し
■米エネルギー情報局(EIA)は毎週水曜日に前週末の米国の原油生産量を発表しています。それによれば3月20日時点で日量942万バレルに達した後、原油生産は伸び悩み、4月10日時点で日量938万バレルまで低下しています。

■またEIAは4月13日に、5月のシェールオイルの生産量は前月から減少するとの見通しを示しました。このような動きを受けた需給改善への期待が、原油相場を支えていると見られます。

【ポイント2】緩和マネーへの期待

米早期利上げ観測が後退
■WTIは3月18日から持ち直し傾向にあります。この日は米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明やFOMCメンバーの経済見通しが公表されました。為替市場ではFOMCのハト派的な内容を受け、その後ドルの全面安が進行しました。

■これまで米早期利上げ観測を背景に、ドル高と原油安が進んでいましたが、FOMCを機に早期利上げ観測が後退し、緩和マネーが市場に滞留し続けるとの期待が、ドル安と原油持ち直しにつながったとも考えられます。

【今後の展開】ドル安と原油の持ち直しが米国株の上昇につながるかに注目

■産油国の通貨と株価は上昇
ドル安と原油持ち直しの動きは、カナダ、ノルウェー、ロシアなど産油国の金融市場にも大きな影響を与えています。カナダドル、ノルウェークローネ、ロシアルーブルは、原油の持ち直しと歩調を合わせて、対ドルでの下落から上昇に転じています。また3カ国の主要株価指数も、そろって上昇ペースが加速しています。

■米国株はさえない動きが続く
一方、米国株は年初からさえない動きが続いています。株価の重しとなっているのは、①ドル高、②原油安、③低調な経済指標、④利上げ観測、これらに起因する企業業績悪化懸念です。そのためドル安と原油持ち直しが緩やかなペースで続いた場合、企業業績懸念の解消が見込まれ、米国株の上昇につながることが期待されます。

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