「イールド・ハンティング」の傾向が続く(グローバル)【キーワード】
2015年2月24日
<今日のキーワード>
原油安を主因にインフレ圧力が大幅に低下したことで、年明け以降、主要国の中央銀行は相次いで金融緩和に踏み切りました。多くの国で国債利回りが顕著に低下し、ドイツなど一部の国では国債利回りがマイナス圏で推移しています。世界的な低金利環境が続くなか、投資マネーはより高い利回りを追求する「イールド・ハンティング(利回り追求)」の動きを強めています。
【ポイント1】投資マネーは高配当株式やリート市場に流入
魅力的な配当水準や良好な商業用不動産市場を材料視
■国債利回りが低下すると、株式の配当利回りなどの魅力度が相対的に増します。米国の株式市場を例にみると、高配当株とされる電話会社等の株価の年初来上昇率は、株式市場全体を上回っています。
■また投資マネーはリート(不動産投資信託)市場にも流入しています。米国、欧州、豪州、香港、日本について、それぞれの主要株価指数と主要リート指数の年初からの騰落率を比較してみると、総じてリート指数が株価指数を上回っています。
【ポイント2】ハイイールド債券なども持ち直し
原油の下げ止まりが追い風に
■高利回り資産のうち、ハイイールド債券やMLP(※)は原油価格の動向に影響を受けやすい性質があります。そのため原油安で低調な値動きが続いていましたが、足元の原油価格の下げ止まりで、パフォーマンスは改善傾向にあります。
※MLPとは、Master Limited Partnershipの略称で、米国で行われる共同事業形態のひとつです。エネルギー・資源関連が多くを占め、株式と同様、米国の金融取引所などで取引されています。

【今後の展開】投資マネーのイールド・ハンティングの動きは当面続く見通し
■原油反発はハイイールド債券やMLPの好材料
原油価格が上昇しても、直ちに緩和的な金融政策が終了することはなさそうです。長期金利がそれほど上昇しないなかで原油価格が持ち直せば、投資家のリスク許容度が高まりますので、これまで不安定な動きが続いていたハイイールド債券やMLPにはむしろ良い市場環境と考えられます。
■米国債利回りの上昇は最大のリスク
高利回り資産にとって米国債利回りの上昇は最大のリスクと見られます。ただし米連邦準備制度理事会(FRB)は慎重なペースで利上げを行うと見られることから、国債利回りの急激な上昇にはつながりにくい見込みです。低金利環境下で、投資マネーの「イールド・ハンティング」は当面続くと予想されます。