「TPP」合意にむけ交渉前進(グローバル)【キーワード】
2015年2月2日
<今日のキーワード>
「環太平洋経済連携協定(TPP)」は、太平洋を取り囲む国々の間で、ヒト、モノ、サービス、カネなどができるだけ自由に行き来できるよう、貿易・投資の自由化や共通のルール作りを進めるための国際協定です。現在の交渉参加国は12カ国で、日本は2013年7月から12カ国目として交渉に参加しています。
【ポイント1】成長戦略でも重要な位置づけ
内閣府は経済効果を3.2兆円と試算
■アベノミクスでは、「成長戦略の基本的な考え方」のなかで、海外との経済連携を推進し、企業の国境を越えた自由な活動を後押しする方針を掲げています。「TPP」は、その経済連携のひとつとして重要な位置を占めています。内閣府は、関税を全て撤廃するなどの前提で経済効果を3.2兆円と試算しています。
■共通のルールのもとで貿易や投資が自由化されると、成長性の高い海外市場への進出や、海外企業の技術や活力を取り込むことによるイノベーションが活発化し、全体として経済の成長性が向上するとされています。
■また、関税引き下げなどに反発が強い農業分野においても、需要の減少が見込まれる日本市場から、より成長性の高い海外への輸出に活路を見出すことにより、産業が活性化するという見方もあります。
【ポイント2】牛・豚肉の関税などで日米が歩み寄り
早期合意の機運が高まる
■農産物などの関税引き下げについては、関税撤廃を主張する米国と、関税引き下げをマイルドに抑えたい日本との間で厳しい交渉が続けられていましたが、ようやく合意点を探る動きが出てきました。
■1月28日からワシントンで日米事務レベル協議が再開され、コメの特別輸入枠を新設することや牛・豚肉の関税引き下げなどについて話し合われ、日米双方に歩み寄りの姿勢が見られました。3月の「TPP」閣僚会合にむけ、早期合意の機運が高まってきました。

【今後の展開】日米のリーダーシップによる「TPP」交渉進展に期待
■経済連携は成長に不可欠
経済連携に参加しないと、高い関税により国内企業の競争力が低下することに加え、高関税を避けて企業が生産拠点などの海外移転を加速させることにもつながります。国内産業の空洞化がさらに進む懸念が高まります。「TPP」を含めさまざまな枠組みによる経済連携を進め、経済の成長性向上が図られることが期待されます。
■まずは日米で合意へ
「TPP」交渉妥結には参加12カ国すべての合意が必要です。米国と新興国との間での医薬品などの知的財産を巡る交渉など難航している分野もあります。日本と米国以外の各国との交渉もまとめる必要があります。まずは日米での合意を目指し、両国がリーダーシップを発揮して「TPP」妥結に向けた交渉を後押しすることが期待されます。