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【キーワード No.1,368】アルゼンチンは再び債務不履行か(アルゼンチン)

2014年7月10日

1.アルゼンチンの債務問題とは?

 アルゼンチン政府は2001年から2002年にかけて債務不履行(デフォルト)に陥り、2005年に債務の再編を実施しました。その際、約90%の債権者が元本の減額に応じましたが、債務再編に応じない債権者の内、米国の投資ファンドなどの一部が、全額の返済を求めて米国で訴訟を起こしていました。
 2012年2月、米国連邦地方裁判所(以下、地裁)は投資ファンドの訴えを認めてアルゼンチン政府に対し全額返済を命じたほか、投資ファンドへの返済が終了しない限り他の債権者への利払いを行ってはならないとしました。アルゼンチン政府は判決の見直しを申し立てていましたが、今年6月16日、米国最高裁判所はその申し立てを棄却しました。その結果、アルゼンチン政府は、国債の利払いを6月30日に控えて資金を準備していたものの、利払いを実行できませんでした。

2.最近の動向

 アルゼンチン政府は、投資ファンドとの和解交渉を進めるため、7月7日に地裁の定めた調停者との話し合いを開始しました。交渉の難航が予想されるなか、国債利払いが猶予期限の7月30日までに完了しないと、支払い能力があるにもかかわらずデフォルトになる、いわゆるテクニカル・デフォルトと見なされます。

3.今後の展開

 アルゼンチン政府は、他の延滞債務の返済について今年5月にパリクラブ(主要債権国会議)と合意に至るなど、債務返済への基本姿勢は前向きです。仮に「テクニカル・デフォルト」になった場合でも資金面の返済能力は失われておらず、最終的には解決策が見つかり、国債の利払いなどが実施されると思われます。
 ただし短期的には、全額の返済を求める投資ファンドと、返済の猶予や元本の減額などを求めるアルゼンチン政府との間で交渉がどのように妥結するか極めて不透明な状況であり、交渉の進捗に市場の注目が集まります。

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