【キーワード No.1,275】QE縮小開始後のG20と市場の見方 (グローバル)
2014年2月25日
1.「G20」とは?
「G20」は、日米などの「G8」と1つの地域(欧州連合)、そして、BRICSなど11の新興国で構成され、世界のGDPの約8割を占めます。今回は22日~23日に豪シドニーで各財務相、中銀総裁が集まりました。
市場が注目していたのは、米QE3の縮小開始決定後に新興国通貨の変動幅が急拡大したことについて、各国の金融当局のトップがどのような見解を示すかでした。
2.最近の動向
今回の声明でアピールされたのは、向こう5年間でG20全体のGDPを従来見通しから2%以上、約2兆ドルも積み増すという「野心的」な目標の採択です。国ごとに課される目標は無かったものの、G8やG20が成長率の水準を全体目標に据えるのは異例です。
目標を呼びかけたのは、議長国の豪州、そして米国です。米国としては、世界経済の課題は米金融緩和縮小への対応ではなく、「成長と雇用の促進」と印象づけるため、会合前からルー財務長官が書簡で意思表明するなど、事前工作を続けていました。
新興国としても米金融緩和の縮小に不満は残るものの、先進国の政府支出増や改革進展への期待から対立を避けた格好です。
3.今後の展開
金融政策については、「多くの先進国でまだ緩和的である必要があるが、しかるべきタイミングで正常化すべき」と明記されました。正常化の際は世界経済に配慮する必要があることも再確認されましたが、最近の市場の落ち着きを踏まえると、今会合が米金融政策の判断に影響することは、ほぼ無さそうです。
FRBは寒波の影響を精査しながら、今後も会合ごとに100億ドルずつQE縮小を続けそうです。また、最近の米地区連銀総裁らの発言も従来通りで、QE縮小方針を変える可能性は限定的と見られます。足元で新興国通貨の変動は落ち着いていますが、市場ではQE縮小の影響を見極める展開が続きそうです。
なお、市場は今回の成長目標については、個別の国に目標達成を促すインセンティブや国際公約としての強制力に欠けるとして、評価をひとまず持ち越しました。G20各国はそれぞれが具体策を今秋(11月15日~16日)の首脳会議に向けてまとめる方針です。仮にインフラ投資拡大、構造改革の促進につながるようならば、ポジティブ・サプライズになると見られ、まずは11月までに続報があるか注目です。