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スペインの「再選挙」(欧州) 【キーワード】

2016年6月29日

<今日のキーワード>
2015年12月に行われたスペイン総選挙では、下院(定数350)で、与党国民党が大きく議席を減らし、過半数を割り込みました。ラホイ首相は政権樹立に向けて他党との連立交渉を行いましたが、連立協議に失敗しました。主要4党が連立交渉で折り合わず、新政権を発足できなかったため、6月26日に再選挙が行われました。この選挙は、英国の欧州連合(EU)からの離脱決定後、初の国政選挙として注目されました。

【ポイント1】国民党が議席を増やして第1党を維持

事前予想と異なり、有権者は安定性を選択

■スペインで6月26日に行われた「再選挙」は、ラホイ首相が率いる中道右派の国民党が下院で14議席増やして137議席を獲得し、第1党を維持しました。中道左派の社会労働党は85議席で5議席減、ポデモス連合は改選前と同じ71議席、シウダダノスは32議席で8議席減でした。

■EU懐疑派で急進左派のポデモス連合は、事前の予想に反して、得票を伸ばせませんでした。欧州メディアは、英国のEU離脱決定を受けた混乱から有権者が安定を優先し、国民党の支持に回った可能性を指摘しています。

【ポイント2】引き続き連立協議

連立協議は難航か

■ラホイ氏は選挙結果を受け、「われわれが勝利した」と宣言し、政権維持を目指す意向を表明しました。しかしながら、主要政党の勢力図は前回と大きく変わったわけではなく、国民党単独では過半数には届かないため、改めて連立協議が必要となります。

■主要4党間で過半数を握れるのは国民党と社会労働党などの組み合わせがありますが、前回同様連立協議の難航は必至です。連立交渉が不調に終わり、スペイン政治が混乱する可能性には注意が必要です。

【今後の展開】来年にかけて各国で選挙

■今回の選挙では、EUと距離を置く新興政党のポデモスが伸び悩み、英国のEU離脱に続く各国のEU離れはひとまず回避された格好です。ただし、欧州では来年にかけて、主要国の選挙が控えており、EU離れが起こるかが注目されます。

■オランダやフランスでは、極右政党が英国と同様の国民投票の実施を呼びかけています。来年のフランス大統領選やドイツ総選挙でも反EUや反難民を掲げる勢力が台頭しています。EUは来年にかけて結束力を試されそうです。

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