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「ギリシャ問題」合意にはなおギャップ(欧州)【キーワード】

2015年5月14日

<今日のキーワード>
欧州連合(EU)は5月11日のユーロ圏財務相会合後、「ギリシャ問題」に関する声明を発表しました。会合ではギリシャとの合意には至らなかったものの、交渉手続きの見直しにより実質的な議論が進んだことから、実務者レベルで合意に至れば既存のプラグラムでの支援は可能とされました。意見のギャップを埋めるには、時間と労力がさらに必要で、協議の加速をEUは求めています。

【ポイント1】年金減額と最低賃金引き上げ凍結で意見のギャップ

EUは緊縮財政継続が条件との姿勢崩さず
■反緊縮を掲げて政権に就いたチプラス首相は、譲れない一線として年金維持と最低賃金引き上げを挙げていました。しかし、緊縮財政継続をあくまでも条件とするEUは年金減額と最低賃金の引き上げ凍結を求めました。

■ギリシャ政府は、前回の会合以降ツァカロトス副外相をヘッドとする実務チームを新たに設置し、資産売却や民営化などでも譲歩する姿勢にも転じたことから、交渉は一定の進展をするかに見えました。しかし、譲れない一線への抵抗から、6月末を期限とする既存のプラグラムでの支援に必要である、ギリシャの改革内容に関しての合意は先送りされました。

【ポイント2】12日期限のIMF債務は返済

デフォルト回避には合意が不可欠
■ギリシャが抵抗を続ける背景には、反緊縮財政に国民から高い支持を得ていることや当面の資金繰りに目途をつけていることなどがあります。12日に期限を迎えたIMFへの債務は、IMFに預けた緊急準備金を取り崩して返済されました。

■しかし、このままでは将来の債務不履行(デフォルト)が確実となるため、EUと期限内に合意することが、ギリシャ政府の本音と見られます。

【今後の展開】交渉長期化による経済の混乱を嫌気し、合意を求める動きも

■1-3月期のGDP成長率は前期比▲0.2%
ギリシャは、緊縮財政の撤回をEUと交渉している間に、経済が苦境に陥りました。13日に公表されたギリシャの1-3月期実質GDP成長率は、前期比▲0.2%と2四半期連続してマイナスとなり、経済の混乱が深まりました。これまで、反緊縮財政を掲げる政府を支持してきた国民の間でも、合意を求めて緊縮財政を容認する動きが広まる可能性もあります。

■6月末に向けて、一層の協議進展を期待
EUの支援を受け経済を立て直すには、政府と国民が緊縮財政を受け入れることが必要です。これがなければ、ギリシャのデフォルトが現実味を帯び、金融市場の不透明感が高まるシナリオも想定されます。6月末の期限に向けて、一層の協議進展が期待されます。

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