「ギリシャ問題」、残り時間少なく(欧州)【キーワード】
2015年4月28日
<今日のキーワード>
欧州連合(EU)とギリシャは今年の2月、既存のギリシャ支援プログラムの期限を6月末とすることで合意しました。合意内容では、ギリシャは改革の具体策をEUなど債権者側に提出し、4月末を期限にEUがそれを承認する予定でした。しかし、4月24日~25日のユーロ圏財務相会合でギリシャは改革案を示すことが出来ず、6月末の期限に向けて、残り時間が少なくなってきました。
【ポイント1】4月24日~25日の交渉は、進展なし
EUが要求する改革案やデータを提示出来ず
■4月24日~25日の会合では、交渉の進展は無かったようです。5月11日のユーロ圏財務相会合が事実上の次回の交渉の場とされ、4月末を期限にギリシャの改革案をEUが承認するスケジュールは、実現が困難となりました。
■ 「公営企業の民営化の手順」 や「(ギリシャの)手持ち資金」などのEUが要求する改革案やデータ公開が準備されず、このことが、ギリシャとEUの交渉が進展しなかった理由とされます。ギリシャは部分的な改革案で部分的な融資の実行を求めたとされますが、EUに拒否されたようです。
【ポイント2】世論は、緊縮に依然反対
与党連合への支持率は低下傾向
■ギリシャによる改革案の提出が遅れている理由は、国内の世論の反発です。チプラス首相率いる政権は、反緊縮策を掲げる左派と右派の政党の連立政権です。反緊縮策の撤回ととられかねない改革案の提出は、内閣だけの判断では難しい状況です。
■国内世論は、依然として反緊縮交渉を望んでいるとされます。最近の世論調査では、与党連合への支持率が低下傾向となっています。

【今後の展開】資金繰りは依然厳しく、国民との対話が政権にとって重要に
■EUはあくまでも緊縮策の受け入れが条件
EUの主張は明確です。支援の継続には緊縮策の受け入れが条件です。万一、ギリシャが債務不履行(デフォルト)となれば、ECBを通じた緊急流動性支援(ELA)の継続も出来なくなります。ただし、緊縮策の継続を受け入れるならば、これまでの条件を見直すことは可能とギリシャの歩み寄りを期待しています。
■ギリシャ国民との対話が政権にとって重要に
ギリシャにとっての選択肢は限られています。政府系企業や地方自治体の余剰資金の移管によって、当面の資金繰りは確保したと見られるものの、5月には国際通貨基金(IMF)への返済などを控え、資金繰りは依然厳しい状況です。世論の理解を得るための国民投票実施などの観測も浮上しており、政権が国の窮状に関して国民との対話をどう進めるかが重要と見られます。