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強力な量的緩和でユーロ下落(欧州)【キーワード】

2015年3月25日

<今日のキーワード>
欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を強化する一方、米国は今年後半に利上げを開始すると見込まれています。為替相場は、2つの国・地域間の金利や景気の格差などによって変動すると考えられています。米欧での金融政策の方向性の違いも影響し、ユーロは一時1.05米ドルを割り、対米ドルで下落傾向にあります。

【ポイント1】ユーロは、一時1.05米ドル割れ

1ユーロ=1米ドルも視野に
■ユーロは、昨年半ば以降下落傾向です。足元では一時、2003年1月以来となる、1ユーロ=1.05米ドル割れも見られました。米欧での金融政策の方向性の違いや景気の格差が注目されていることに加え、ギリシャの政治不安がユーロの下落に拍車をかけていると見られます。

■ユーロは2000年前後に、1ユーロ=1米ドルを下回りました。当時、ユーロが下落した理由として、「世界経済白書(2000年度)」は、「米欧間の金利格差・景況格差、国際資本移動、ECBの信認の浅さ」などを挙げています。経済が好調な米国は段階的に利上げを実施し、景気が低迷していたユーロ圏との金融政策の方向性が異なったことが一因でした。

【ポイント2】ECBは国債購入開始

1兆ユーロの資産増額目標に向け好スタート
■ECBの国債購入は3月9日から開始され、3月20日までの10取引日の間で約263億ユーロが購入されました。国債以外の資産の購入もあり、事前に公表されていた月600億ユーロのペースを上回っています。

■また、ECBは、3月の長期リファイナンスオペ(TLTRO)で、約978億ユーロの資金供給を行いました。2016年9月までに資産を1兆ユーロ増額する目標に向けて、順調に滑り出しました。

【今後の展開】ECBの量的緩和が進展し、ユーロ安圧力が続く

■物価目標達成まで金融緩和を続ける
ECBは金融緩和を、物価目標の達成が出来るまで続けるとしています。しかし、2月の物価上昇率は前年比▲0.3%と目標とする「2%近く」との乖離が大きく、ECBの緩和政策は当面強力に進められる見込みです。米国との金融政策の方向性が異なる状況は当面継続し、ユーロの米ドルに対する下落圧力は続くとみられます。

■ギリシャ問題に引き続き注意
ユーロ圏の景気回復は弱く、ECBによる金融緩和による景気の後押しが必要と見られます。また、ギリシャとユーロ圏やECBとの支援問題を巡る協議の難航は、ギリシャ国債のデフォルトが連想され、ユーロが一層下落する可能性もあり、注意が必要と見られます。

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