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「ギリシャ支援」交渉がスタート(欧州)【キーワード】

2015年3月13日

<今日のキーワード>
欧州連合(EU)は、「ギリシャ支援」策の期限を4カ月延長し6月末としました。延長後のスケジュールでは、ギリシャは改革具体策をEUなどの債権者側に提出し、4月末を期限にEUが承認、その後6月末までに、既存プログラムの修正検討をEUが行う予定です。また、欧州中央銀行(ECB)に対する約67億ユーロの国債償還が7月、8月に控え、その前の6月末に交渉期限が設けられました。

【ポイント1】12日に債権者側がギリシャ入り

財政・経済構造改革に関するデータ収集を開始
■3月9日のユーロ圏財務相会合を受けて、ギリシャとEUの実務協議が開始され、債権者側の専門家チームが12日からギリシャで、必要データの収集を開始することとなりました。今回の専門家チームのデータ収集は、昨年後半に中断された債権者側による定期レビューも兼ねており、既存プログラムの元での支援を再開する交渉がスタートしたことになります。

■ギリシャは、支援期限の延長を求める際に「年金制度改革と歳出の聖域なき見直し」や「滞納税の徴収強化」などの改革を行う方針を示しており、その具体策を詰めるプロセスに入りました。

【ポイント2】財政が急速に悪化

ECBの緊急融資増額も期待
■2月27日の期限延長後、専門家チームの受け入れまでに2週間近くを要しました。反緊縮財政を掲げるチプラス政権の歩み寄りが難しかったことが背景です。しかし、税金の滞納もあり、財政は予想を上回るペースで悪化し、政府の現金が底をつくことが迫り、受け入れを決めた模様です。

■専門家チームの受け入れは、欧州中央銀行(ECB)からの緊急融資などの増額折衝にも有利に働くとの期待もあると見られます。

【今後の展開】財政破たん回避に向けて、双方の歩み寄りに期待

■ギリシャがまず歩み寄りを
交渉は難航が予想されます。EUは、ギリシャのユーロ圏離脱を求める動きがスペインなどの他の加盟国に広がることは避けたいところです。チプラス政権が、全面的な反緊縮財政ではなく、緊縮策の部分的な緩和などで折り合いをつける姿勢に傾けば、支援側に妥協の余地が出てくると予想されます。しかし、チプラス政権にとっては反緊縮が政権のよりどころであり、方針転換と受け止められる選択は非常に難しい情勢です。

■欧州の金融システムは強化
昨年11月に銀行の単一監督メカニズム(SSM)が始まり、前回のギリシャ危機時と比べ、欧州の金融システムは強化されています。仮に、ギリシャの銀行が破たんする事態となっても、ユーロ圏全体の金融システムに与える影響は限定的と見られます。とはいえ、ギリシャが財政破たんすれば、同国の景気が大きく後退するなどの悪影響が懸念され、解決に向けた双方の歩み寄りが期待されます。

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