「ギリシャ支援」は新たな展開へ(欧州)【キーワード】
2015年2月19日
<今日のキーワード>
2月16日の欧州連合(EU)のユーロ圏財務相会合で、ギリシャは、2月末を期限とする現行の「ギリシャ支援」策の延長申請以外の選択肢は無いと通告されました。その後、ギリシャのユーロ圏離脱懸念によるギリシャの銀行からの預金流出が止まらないことから、ギリシャは19日にも支援延長を申請するとの見方が強まっています。「ギリシャ支援」は新たな展開に移行する見込みです。
【ポイント1】銀行からの預金流出が止まらず
EUも歩み寄る姿勢を示唆
■昨年11月に導入された、単一銀行監督メカニズム(SSM)により、ギリシャの銀行の監督権は、欧州中央銀行(ECB)に移りました。預金流出などによる銀行の破たん回避のためには、結局のところ、ECBに頼らざるを得ません。このことが支援延長の見方が強まっている背景の一つです。
■延長期間は6カ月が有力で、この期間中は現行の緊縮策を受け入れることとなります。延長後の債務返済の猶予を含めて、EUなどの支援側も歩み寄る姿勢を示唆していることも、延長申請の背景とみられます。
【ポイント2】選挙公約から強気を崩せず
延長後も、交渉難航は必至
■反緊縮財政という公約を背負う現政権は、延長期間中においても、反緊縮の方針は崩さないと見られます。一方、ギリシャへの譲歩がスペインやイタリアなどへ波及することを警戒するドイツなどは、あくまでも現行の支援策の枠組み内での歩み寄りに固執すると見られます。交渉は引き続き難航が予想されます。

【今後の展開】ギリシャとEUなどの歩み寄りによる、新たな支援策の合意を期待
■ギリシャの交渉カードは限られる
ギリシャの交渉カードは、ユーロ圏離脱、中国やロシアなどの支援などに限られると見られます。一方、EUなどの支援側は、ECBによる緊急流動性支援(ELA)の打ち切りなどのカードを残しています。ギリシャは、国債発行による資金調達が難しい上、1月は税収が減り、苦しい状況にあるとみられます。
■新たな支援策への歩み寄りを期待
ECBは3月以降、毎月600億ユーロの国債などの購入による量的金融緩和を進める予定ですが、ギリシャ国債は対象外です。ギリシャのユーロ圏離脱や財政破たんを回避し、ユーロ圏の緩やかな景気回復の持続を確実にするためにも、歩み寄りによる新たな「ギリシャ支援」策への合意が期待されます。