「ギリシャ危機」回避へ歩み寄り模索(欧州)【キーワード】
2015年2月4日
<今日のキーワード>
2010年、2012年の二度の「ギリシャ危機」は、いずれも、欧州連合(EU)などが資金支援することで、収束に向かいました。今回は、債務の削減交渉がポイントです。ギリシャの新政権は債務の削減によって財政を改善し、自力での資金調達の方法を探っていると見られ、EUなどへ譲歩を求めています。
【ポイント1】反財政緊縮を掲げた新政権が発足
EUとの交渉期限は2月末
■総選挙を受けて、反財政緊縮を掲げる連立内閣が1月27日に発足しました。首相には、急進左派連合(SYRIZA)の党首であるチプラス氏が就任しました。当面の注目は、EUからの金融支援の期限である2月28日までに何らかの合意に至るかです。2月12日にはEU首脳会議、16日にはユーロ圏財務相会合が予定され、両者の歩み寄りが見られるかに投資家の関心が集まっています。
【ポイント2】債務削減にはドイツが反対
交渉難航から、不安心理が高まる
■チプラス首相は選挙での圧勝を背景に、債務の削減を求める強気のスタンスを変えていません。ドイツのメルケル首相は、「債務減免はない」と発言したとされ、4月に総選挙を控えるフィンランドも債務返済期限の延長は合意の遵守が前提との考えと報道されています。ギリシャの主張とは真っ向から対立しています。
■交渉の難航が嫌気され、2月2日に、ギリシャ国債の利回りは一時11%を超え、株式市場では銀行株が選挙後に約3割下落し、投資家の不安心理は高まっています。

【今後の展開】ギリシャ危機を回避するよう、両者の歩み寄りに期待
■ギリシャとEUなど支援側が歩み寄る余地も
チプラス首相は、EUなどに頼らず、自力での資金調達の方法を探っており、そのためには債務の一部帳消しが必要と見込んでいる模様です。第二次世界大戦後のドイツが債務削減によって復興を果たしたように、ギリシャの経済再建には一部債務の削減が必要であるとの意見がドイツでも出てきています。EUなどの支援側がギリシャに歩み寄る余地が残されています。
■ユーロ圏脱退はギリシャも望まず
ギリシャのユーロ圏離脱は影響が大きく、ギリシャ国民も他のユーロ圏加盟国も望んでいないと見られます。ただし、このまま交渉が難航し、3月にも債務の返済が滞ることとなれば、金融市場の不安がさらに高まりかねません。また、今年後半に予定されるスペインやポルトガルの総選挙で政治不安が高まることにつながりかねず、ギリシャ問題には当面、目が離せません。