「欧州戦略投資基金」で景気テコ入れ(欧州)【キーワード】
2014年12月10日
<今日のキーワード>
「欧州戦略投資基金(EFSI)」は、欧州委員会が提唱する投資計画の中核をなす基金で、「EFSI」はEuropean Fund for Strategic Investmentsの略称です。欧州連合(EU)と欧州投資銀行(EIB)が合計210億ユーロ(約3兆円)を負担するほか、民間からの投資も導入し、今後3年間で総額3,150億ユーロ(約47兆円)をインフラ事業などに投資する計画です。
【ポイント1】停滞する投資拡大がねらい
欧州債務危機後の新たな景気対策
■欧州委員会のユンケル委員長は11月26日の欧州議会で、「EFSI」の創設を中核にした欧州投資計画を公表しました。欧州債務危機を経て、各国の財政支出による景気対策が難しくなり、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和政策への依存度が増していることから、EU主導により投資を活性化させ、景気のテコ入れを図るのが狙いです。
【ポイント2】インフラや中小企業支援が対象
元手の15倍の投資を呼び込む
■「EFSI」の中核資金は、政策投資を担うEIBによる50億ユーロの出資と、EUによる160億ユーロの信用保証の合計210億ユーロで構成されます。
■この中核資金をもとにした融資を呼び水に、民間からの投資を集めるねらいです。最終的に、元手の15倍にあたる3,150億ユーロの投資を今後3年間に行うことを目指しています。
■投資対象は、エネルギー、輸送、通信、教育、研究開発分野や、雇用を創出する中小企業向けの投資など、投資効果が高いとされる領域です。

【今後の展開】「EFSI」による投資拡大で成長率底上げへ
■2015年半ばに開始予定
「EFSI」は、12月の欧州首脳会議での承認を経て、2015年半ばまでに設立、業務が開始される見込みです。また、EIBや欧州委員会が各国と協力して設置する専門家集団がすでにプロジェクトの選定を進めており、投資効果は2015年にも現れるとしています。
■インフラ投資の拡大で成長率底上げへ
今回の投資計画を実効性あるものにするためには、規制緩和などの行政的な取り組みも同時に進めることが重要とみられます。インフラや中小企業向けの投資が活性化すれば、欧州の成長率の底上げにつながるとみられます。