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ギリシャ危機再燃(欧州)【キーワード】

2014年11月20日

<今日のキーワード>
ギリシャは2009年に財政赤字がこれまでの公表よりも大幅に膨らむことを明らかにしました。これをきっかけに国債の債務不履行(デフォルト)懸念の高まりが周辺国に波及し、欧州債務危機に発展しました。国際通貨基金(IMF)などの二度の支援により危機は収束に向かいましたが、条件として受け入れた緊縮的な財政に対する国民の不満は足元で再び高まり、不透明感が増しています。

【ポイント1】ギリシャ国債の利回りは上昇、ドイツ国債との利回り差が再び拡大

ギリシャの10年物国債の利回りは8%超
■ギリシャ国債利回りは、2012年4月に2回目の支援を受けてから低下傾向にありましたが、足元で上昇しています。2015年3月に任期満了に伴う大統領選挙が予定されており、これを巡り緊縮財政に反対する野党が優勢となる観測が強まっているためです。

■サマラス首相は、財政が好転しているとして、2016年3月末に期限を迎える金融支援プログラムを今年12月末に終了させたい意向を示しました。金融支援の条件となっている緊縮財政からの早期脱却を図りたい考えと見られます。これに対し支援側の欧州連合(EU)や欧州中央銀行(ECB)は歩み寄りの姿勢を今のところ示していません。

【ポイント2】景気は後退局面を脱し拡大へ

財政改善に首相は自信
■7-9月期のGDPは前期比+0.7%と2四半期連続でプラスとなり、景気後退を脱したと見られます。失業率は25.9%(8月)と依然高水準ながら徐々に低下し、国民の緊縮財政の緩和を求める気運が高まっています。

■サマラス首相としては、緊縮財政への国民の不満を背景に支持を拡大してきた野党に対抗し、経済の改善と金融支援の早期終了を強調することで政権を安定させる狙いがあると見られます。

【今後の展開】ユーロ圏の金融安定化の仕組みが整備され、再発は回避へ

■11月には単一監督メカニズム(SSM)が始動
ユーロ圏のギリシャの財政破たんはギリシャの国債を大量に保有する銀行の破たんにつながり、金融危機の連鎖が次々と起こる懸念がありました。しかし、前回の危機を教訓として、資本不足の銀行に資本増強を促し銀行監督を強化するSSMがこの11月にスタートしました。

■金融危機の再発は回避へ
来年1月には単一破綻処理メカニズム(SRM)も発足し、金融安定化の仕組みは一層整備されます。仮に同国の財政が再び悪化に向かったとしても、ユーロ圏全体の金融システムが危機に陥ることにはつながりにくいと考えられます。

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