ホームマーケット日々のマーケットレポート【キーワード No.1,263】再び変動性が高まっている「EONIA」(欧州)/マーケット情報・レポート - 三井住友DSアセットマネジメント

【キーワード No.1,263】再び変動性が高まっている「EONIA」(欧州)

2014年2月6日

1.EONIAとは?

 EONIAとはユーロ圏無担保翌日物平均金利(Euro OverNight Index Average)で、欧州中央銀行(ECB)の誘導目標です。ユーロ圏の銀行間で取引される金利であり、欧州の大手銀行の実効レートの加重平均で示されます。ユーロ圏では、リファイナンス金利(主要な政策金利)や限界貸付ファシリティ金利、預金ファシリティ金利などを組み合わせる政策により、EONIAを安定させる枠組みとなっています。

EONIA(ユーロ圏無担保翌日物平均金利)・・・ECBの誘導目標。
リファイナンス金利・・・主要な政策金利。ECBの金融政策スタンスを反映。
限界貸付ファシリティ金利・・・金融機関が急な資金需要が発生した時に、ECBから借り入れる際の翌日物金利。
預金ファシリティ金利・・・金融機関が一時過剰となった資金を中央銀行に預け入れる際の金利(=付利)。ECBが水準を決定。

2.最近の動向

 2013年秋頃から、それまで下限に近い0.1%弱を中心に推移していたEONIAの変動幅が次第に大きくなってきました。この頃ユーロ圏では消費者物価の上昇率が低下していました。2013年11月7日、ECBは物価上昇率が低下する圧力を抑えることや、EONIAのブレを抑制することなどを狙いとして、リファイナンス金利を0.50%から0.25%に引き下げました。これによりEONIAは安定化しましたが、14年1月以降、再びEONIAはリファイナンス金利を上回るなどその変動性が高まっています。

3.今後の展開

 市場では、ECBが2月から3月にかけて利下げを行うとの観測が広まりつつ一方、流動性供給の減少を背景とした市場金利の上昇を懸念する声も聞かれています。EONIAは1月中旬に0.3%台をつけ、リファイナンス金利を上回る場面があり、銀行はリファイナンス金利よりも高い利率で資金を調達する異例の形となりました。昨年末にも季節要因などからEONIAは0.4%超まで上昇しましたが、今回は流動性供給の減少やECBが初めて行うユーロ圏銀行の資産査定を控え、金融機関がECBに依存しない形で資金を調達しようとしたことなどが背景と思われます。こうした市場金利の上昇が一時的で済むかは不透明ですが、今後恒常的にEONIAがリファイナンス金利を上回るなどの上昇傾向が続く場合は、いずれ追加の緩和政策が実施される可能性が高まると思われます。また、ユーロ圏のインフレ見通しの下振れもECBが追加金融緩和の要因となると思われ、引き続き注目です。

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