「権威人士」とは?(中国) 【キーワード】
2016年6月13日
<今日のキーワード>
中国市場では、5月9日付の共産党の機関紙「人民日報」に載った「権威人士(権威ある人)」のインタビュー記事が話題を集めています。「権威人士」は習近平国家主席の側近とされ、同記事は、習近平主席の意向を強く反映するメッセージといわれています。「権威人士」は、債務拡大を伴う景気テコ入れ策は慎むべきと指摘し、景気の下振れは抑制しつつも、構造改革に取り組むべきとする考えを示しました。
【ポイント1】構造改革路線を強調
バブルの芽をつむ狙い
■ 「権威人士」の記事が登場したのは、痛みを伴う構造改革路線を強調する狙いがあったと受け止められています。中国当局は、構造改革優先を唱えながら、実際には、全国人民代表大会が開かれた3月前後に多くの固定資産投資を発動し、事実上、景気刺激策を行いました。特に、足元では、不動産投資への依存が強まっており、北京や上海などの不動産価格は、バブルの様相を呈しています。目先の成長を犠牲にしてもバブルの芽をつみ、構造改革を徹底する方針を改めて示したと見られています。
【ポイント2】李克強首相は現状肯定

成長も改革もで、意見一致か
■一方で、李克強首相らは、中国経済の成長優先に肯定的な考え方と受け止められています。一見すると、習近平国家主席に近いとみられる「権威人士」とは異なる見解です。ただし、一定の経済成長をあげながら、十分な雇用を確保しつつ、構造改革を進めるという点については、両者の考えは一致していると見られます。
【今後の展開】長期的には構造改革推進はプラス
■中国政府は改革を進めつつ、柔軟に政策対応
今、習政権の力は前政権と比べて強大といわれています。景気の底割れを防ぎつつ、供給サイド改革を進めることは、容易ではありませんが、中国政府は景気の上振れ・下振れに対して政策対応を行う意向を示しています。短期的な景気変動の可能性はありますが、長期的には安定推移が見込まれます。中国政府が構造改革を進める中で、景気の安定性を保つことが出来れば、世界経済やグローバルな金融市場へのかく乱要因となるリスクが低下するものと考えられます。
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