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再びの「元安」(中国) 【キーワード】

2016年6月7日

<今日のキーワード>
4月以降再び「元安」となっていますが、中国本土株式市場は落ち着いた動きです。中国からの資本流出に歯止めがかかっていることなどが背景と考えられます。中国経済は安定しつつあり、米国の利上げの再開時期も先送りされる可能性が高まっており、人民元は、当面、安定した推移となりそうです。

【ポイント1】元切り下げ以降3度目の「元安」局面

15年以降の安値に近付くも下落の勢いは鈍い

■4月以降、再び「元安」となっています。15年8月に元が切り下げられたことを含め、1年間で3度目の「元安」局面です。今回は、過去2回の「元安」局面のような急落ではありませんが、切り下げ以降の最安値レベルの「元安」です。

【ポイント2】株式市場は落ち着いた動き

外貨準備の減少に歯止め

■「元安」は主に米国の利上げによる中国からの資金流出懸念や中国経済の先行き不透明感の高まりなどが背景です。過去2回の急激な「元安」局面では、株式市場が大幅な調整を余儀なくされました。今回、株式市場の変動性が極めて限られている点が過去と異なります。

■4月以降の「元安」も、米国の利上げ期待を受けたドル高が背景です。ただ、過去と大きく異なるのは、3月以降、外貨準備高の減少に歯止めがかかり、2カ月連続で前月比で増加に転じたことです。株式市場が底割れしていないのは、海外への資金流出に歯止めがかかりつつあることで、投資家が極端なリスク回避的な行動をとっていないためと考えられます。

【今後の展開】米国の利上げが先送りされ、人民元は当面安定か

■5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1と3カ月連続で50を上回り、中国経済が安定しつつあることが示されました。景気が安定すれば、資本流出も抑えられ、極端な「元安」は回避できると思われます。
加えて、5月の米雇用統計を受けて、米国の利上げ再開の時期は9月以降となる見通しです。米国の利上げ期待が先送りされることで、資本流出のリスクも後退すると思われます。当面人民元は安定した推移となりそうです。

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